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スマラグドス王の遣い到着
しおりを挟むアベンが東の大国、ベスティエ国へ出発した次の日にスマラグドス王の遣いが城に到着した。
騎士が20人、使用人は5人、そしてスマラグドス王の側近らしき人物が2人、最後にスマラグドス王の妹であるローゼ
「よく来た、ローゼ殿下、それにスマラグドス王の遣い達
歓迎する」
俺の前でお辞儀をしているスマラグドス王の遣いに声を掛ける。
「歓迎心より感謝いたしますわ
オブシディアス王陛下」
ローゼがそう言い、顔を上げた。
俺を見つめ、何か言いたげに目をキラキラとさせながらニッコリと笑う。
それを見て見ぬふりをし、アメシストにローゼ達を部屋に案内するように指示した。
「長旅で疲れているだろう
部屋に案内しよう
アメシスト」
「はい
では皆様、部屋までご案内します」
アメシストは丁寧に礼をした後、いまだに俺を見つめるローゼを自然な流れでエスコートしながら謁見の間から出て行った。
「はぁー」
頭を抱える。
ローゼだけでも頭が痛いが、スマラグドス王の側近らしき者が2人もいる事に益々頭が痛い
だが、それだけではない
使用人の中に1人だが異様な者がいた
キョロキョロと忙しなく俺や俺の周りを探り、何かを探している様な目つきにため息が出る
幸いその4人以外は皆気にすることもないような者たちだったが、油断は出来ない
中に暗殺者が紛れていても可笑しくはないだろう
執務室に移動をしながら、ルリの事が頭に浮かびどうしようもない気持ちに駆られる。
今日からはルリに会うことが出来なくなる
あの暗殺の一件から俺への態度がどこかよそよそしくなってしまった
仕事が忙しく食事の時以外に会う機会が減ってしまい、まともに会話もしていない
正直限界だ
ルリを抱きしめたい
ルリの笑顔を見たい
腕の中に閉じ込めて共に眠りたい
何もかも投げ出してルリの元に行きたい衝動を溜息を吐くことで無理やり抑えた。
そして夜
「まあ、これは私たちの国の料理ですわね
嬉しいですわ」
ローゼが出された料理に嬉しそうに手を合わせながら話しかけてきた。
「ああ
到着したばかりで疲れているだろうから、そなたたちの国の料理を作らせた
口に合うといいが」
適当にローゼに返事を返す。
「では早速頂いてもよろしいかしら」
「ああ、遠慮なく食べてくれ」
「・・・ん、とても美味しいですわっ
私たちの国に引けを取らない味ですわ」
「それはよかった」
それからローゼは何を言うわけでもなく、だが何かを期待しているのか目で訴えてきている事が分かった。
俺から婚約の話をして欲しいのだろう
敢えてその話には触れずに他愛もない話をしながら食事を済ませた。
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