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乱入者
しおりを挟む「ん~、分からない
魔王様と魔王様の上に誰かいるんだよねぇ
確認するから、側にいる2人を頼んだよぉ
あ、青い髪の方は殺したらダメだよぉ
後で、話を聞かないとねぇ」
アベンはクオーラの方を見ながらニッコリと笑う。
・・・目は全く笑ってはいないが
「あたしに命令をするな
後で、報酬はたっぷりと貰うからな」
そう言い残し、瞬時にターゲットであるクオーラとラスの側にいる男に向かった。
「ひゅぅ~
早いねぇ」
見ると既に戦っていて、さすが実力主義大国出身だと感心した。
「さて、魔王様は無事かなぁ?」
そう言いつつ、素早くラスの元へ向かう。
ラスの元へたどり着くとすぐに、ラスの上へ乗っていた瑠璃をどかした。
「ん?この顔は・・・
魔王様は、寝てるのぉ?」
ラスの上に倒れていた人物の顔に見覚えがあるが、それより先に己の主人の様子を確認した。
大量に出血したと思われる場所の上で倒れていたから、致命的な傷があるのだろうと思っていたが、そうでない事に不思議に思いアベンは首を傾げた。
「魔王様の回復力で傷一つ出来ないと思うんだけど?
それ以前に、こんな雑魚共にヤられるわけがないよねぇ?」
次々湧いて出てくる疑問に困惑するばかりだが、魔王様が無事と分かり取りあえずは安心した。
そして、原因の元であろう逃げ出そうとしてるカーネリアンに視線を投げた。
「ひぃっ」
逃げ腰で、アベンと目が合った瞬間に悲鳴を上げるカーネリアン
アベンがカーネリアンを捕まえようと一歩踏み出した時だった。
「ひぃぃぃっ」
悲鳴を上げ、懐に入っていた魔道具を取り出し、床に投げつけた。
バキッと魔道具が壊れる音がしたと同時に、パリンと何かが壊れる音が聞こえた。
そして、スッと辺りが開けた。
「!?
ヒナちゃんっ!!」
カーネリアンが床に投げつけ壊した魔道具は、結界の様な役割を果たしていたのだろう
今まで気配も、魔力も感じなかったヒナタやその他の人物が、魔道具が壊れると同時に現れたのだ。
カーネリアンの後ろには捕まっているヒナタが、必死にヒナタを捕らえている男から抜け出そうと藻掻いていた。
「ヒナちゃん!!」
ヒナタを助けようと駆け出す。
が、
「動くなっ!!
この者がどうなってもいいのか!?」
ヒナタの事だけに集中していたアベンは、カーネリアンの存在などすっかり忘れていた。
カーネリアンはヒナタを捕まえている男に命令をし、ヒナタの首を絞める。
「ぐぅっ」
両手で首を締めあげられ、体が少し浮いているヒナタは苦しそうに藻掻き、顔が真っ赤にさせていた。
アベンはそのヒナタの姿を見て、その場に立ち止まるしかなかった。
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