私の決心は、無駄に終わった。

のりすけ

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兄side

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恋に堕ちていった時間を目撃したのはいつだったか。

そこから俺の友人はテキパキと妹をいつか掻っ攫う為の準備をしていった。

一筋縄ではいかなかったが、割と兄妹の父母には気に入られるのは早かった。

まぁ、そうなるだろう事は予想の範疇だ。
だが簡単には進ませないよう仕組んだこともある。

何故なら俺だって妹は可愛いんだ。

まだ成人してない小さな間だけでも構いたいじゃないか。

「お兄様どうしたの?」

「いや?べつに何もないさ」

「そう?
これよかったら私が刺繍したハンカチなの。
お兄様が嫌では無ければ使ってくださる?」

「へ~よくできてるじゃないか。
当家の紋章か。確かにこれは家族しか使えないな」

「そうなの!練習の中で今のところ一番出来がいい物なの。使ってくれる?」

「ああ。有り難く遣わしてもらうよ」

これで揶揄う材料ができた。



「よ!元気かーい。暑いね~この頃」

「昨日も会っただろ?君は偉く元気だね」

「そうなんだなぁ~。
今日はプレゼントを貰っちゃってさぁ」

「君の本当の中身を知らなくて、幻想を抱いている可哀想なお嬢さん方かい?」

「あらぁ失敬な!」

「なんだその口調は…」

「お嬢さんには違いないが、うちの可愛いお嬢さんからだ」

それを聞いて友人はピクッと反応した。

「当家の紋章の刺繍が入ったハンカチを貰ったのさ。一番いい出来のものをって。
しかもイニシャルを入れてくれないかって言ったらすぐ入れてくれたさ。
やっさし~な~。君の想い人兼俺の妹は」

「……君は本当に猫を被っていないとたちが悪いね…」

「でも協力してやってるだろぅ?
父の好きな物を教えたのは誰だったか?
母のハマっている物を教えたのは誰だったか?」

「…はぁ。。
妹離れは早くした方がいいんじゃないのかぃ?」

「成人近くなるまではしないでおこうと思ってね」

「一刻も早くしてくれ。」

「ははっ!
まぁ、いつかは家族になるんだ。
ちょっとぐらいは大目に見てくれよ」

「なっ!」

「離す気なんかないくせに恥ずかしがるなって~。手紙ちゃっかり出してんだろう?
俺には出さないで」

「なんで毎日会ってるやつに出さなきゃいけないんだよ。
そろそろあの子も学園に入学してくるんだろう?だから色々情報交換してるんだよ」

「まぁ、優しい事。」

「君は僕の事をおもちゃか何かと思ってないかい…?」

「まさか。いつの日か義弟になるのにそんな事ないだろう?」

「その意味深な笑顔をどうにかしてから言ってくれ」



まぁ、今だけでも揶揄わせてくれよ。
いつか家族になった時笑い話として楽しむために。















「そろそろお前を婚約者にしたらどうだろうかと父に言ってみたが、どうだろうね~」


「!?」
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みんなの感想(2件)

haruryu1207
2020.05.22 haruryu1207

男性側からの話も見たいです!

解除
ナッツー
2020.05.19 ナッツー

とてもハラハラして可愛らしくほっこりするお話でした☆
気に入ったので、読み終わって速攻でお気に入りにさせてもらいました(๑•̀ㅁ•́๑)✧

解除

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