身代わりから始まる恋の行方は夜想曲と共に

りんか

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プロローグ

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「あッ」

 首元からドレスを暴かれていって、露になった肌をフィルロードの唇がゆっくりと辿っていく。音を立てて口づけられる度、リリーシャの唇から鼻にかかる声が漏れる。きいたことのない自分の声に恥ずかしくなったリリーシャは、フィルロードにしがみつく腕に力をこめた。

「姫……」

 リリーシャの乳房が、フィルロードにそっと掴まれる。やわやわと優しく揉まれながら、乳首をクリクリとこねられて、リリーシャの両肩がビクッと縮こまった。

「ふあっ」

 むず痒い感覚に、リリーシャは顎を小さくのけ反らせる。無防備になった彼女の白い喉笛に、横からフィルロードが軽く噛みついた。ジュル、と吸いつかれてリリーシャの喉が音にならない悲鳴を紡ぐ。

 よろけた彼女を、フィルロードの腕が支えた。そのまま彼は膝を折りながら、崩れ落ちていく彼女をバルコニーの柵へもたれかけさせる。ベールと一緒にリリーシャの髪を撫でながら、彼は彼女の両膝を立たせて、割り開いていく。

「姫……」
「フィル、何を? ……あッ!?」

 ドレスの裾がめくられ、下着がほどかれる。外気に敏感に反応した箇所が、すぐに柔らかな刺激を受けて激しく震えた。

「な、何をして、ああ……っ!? もしかして舐めてッ……ひゃあんっ、そんな、とこ、んっ! きたな……、んああああっ」

 リリーシャの入口が、フィルロードの舌先に優しく突かれる。初めての刺激に身体を跳ねさせる彼女を、細められた紅の瞳が下から眺める。

 グイッとリリーシャの両足を大きく開かせながら、フィルロードは水音を響かせてさらに奥へと吸いついていく。

「あ、はぁ……ッ」

 ジュル、と吸い上げられて、駆けあがってくる快感にリリーシャは背中を柵にこすりつけた。たくし上げられたドレスの真ん中で揺れる金色の髪が、潤んだ視界にぼんやりと映る。
 震える指先を必死に伸ばして、リリーシャはフィルロードの頭を抱えこんだ。

「んっ、んあっ、そこっ、そこダメぇ……ッ」
「あなたのいやらしい蜜が……、どんどん溢れてくる」
「そ、そんなこと、言わないでください……ッ、私、私……ふああっ!」

 上半身を逸らした反動で、リリーシャのベールが彼女の髪と一緒に波うつ。
 周りを丹念に舐めとられ、舌先をグッと差しこまれた瞬間、彼女の背筋を電流のようなものが駆け巡っていく。勝手に腰が浮き、中がキュウと収縮していく感覚に、彼女はいやいやと首を左右に振った。

「フィル、フィルロード……ッ! あああっ何か、何か、ああんっきそうでっ、んあああああッ!」
「大丈夫です、姫。そのまま、委ねて……」
「フィル、フィル……、……ダメ……ッ」

 助けを求めるように空へと伸ばされたリリーシャの手が、フィルロードに強く握られる。
 リリーシャの指に力がこめられ、彼女の背中が弓なりに逸らされた。

「あああああッ!!」

 美しい月に照らされて、リリーシャが甲高い声を発しながら絶頂する。ビクビクビクッ、と小刻みに震えていた彼女の細身が、ふっと力を失って背中から崩れ落ちていく。

 グイ、と手の甲で口元をぬぐいながら、フィルロードはぐったりと柵に寄りかかったリリーシャの前髪を、優しくかき分ける。

「姫、わたしはあなたを――」

 うわ言のように呟くフィルロードの唇に、リリーシャは気だるい上半身を柵から起こして、人差し指をそっと押し当てた。

「駄目……。それ以上は、言わないでください」

 言われてしまうと、この甘い夢が終わりを告げてしまう。
 だって、それは『私』じゃないのだから。

 だから、何もかも忘れさせて。どうかこのまま、溺れさせてください――

 手を取られて、唇を封じていたリリーシャの指が、フィルロードの口内へとくわえ込まれる。
 ヌルリ、とした感触にまとわりつかれて、リリーシャは「んっ」と荒い息を漏らす。爪にキスをされて解放されると、リリーシャはフィルロードの頬を両手で優しく挟んだ。

「フィル、ロード」

 コツン、と二人の額がぶつかる。
 至近距離で絡み合うぼんやりとした紅の瞳と、潤みを帯びた淡黄色の瞳。

「あなたを――、私にください。どうか私を、めちゃくちゃに、して……」

 すべてを、忘れられるくらいに……
 リリーシャのベールが無造作に放られ、音もなく床に落下していく間に、二人の吐息が再び交わった。
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