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プロローグ
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バサ、と肩から外されたフィルロードの赤いマントが、冷たい床に広げられる。その上にリリーシャを横たえ、フィルロードは彼女に覆いかぶさりながら、詰襟部分を緩めて胸元をはだけさせた。
きれいに浮き出た鎖骨より下の部分に、変わった形の痣があることにリリーシャは気がついた。
そういえば、幼い頃にも見た覚えが。
あれは確か、そう。彼と初めて出会った、あの時に――
痣へと無意識に伸ばされていた彼女の白い指が、フィルロードの熱い掌につかまる。
「姫……」
「あ、……っん、んッ」
指先から手の甲、腕、肩、そして首筋、胸元へゆっくりと辿っていたフィルロードの唇が、不意に首と肩の境目辺りで強く吸いついた。ピリッとした痛みに、リリーシャの細身がビクと反応する。
肌に何度もその小さな痛みを受けてそこからじわじわと侵食していく熱と昂りに、彼女はもどかしそうに両膝をこすり合わせた。
リリーシャの二本の足が緩々と抱えられ、フィルロードがその間から上半身を彼女の方へと折ってくる。何か硬いものが布越しに押しつけられて、リリーシャが「んっ」と眉を寄せた。
はああ、とフィルロードから深い嘆息。情欲に濡れた紅の瞳がリリーシャに落とされ、彼女の淡黄の瞳がそれを真っすぐにとらえた。
「すまない、姫……。もう、抑えられそうに、ない……っ」
「私も……、です。早く私の中に来て……、フィルロード……」
もどかし気な金属音に続いて、リリーシャの広げられた両腕に沈んでいくように、フィルロードの猛りを帯びていたものが彼女の中へと入っていく。
「あ……! ああああっ!!」
ゆっくりと、だが確実にフィルロードを飲みこみながら、リリーシャは初めての痛みと衝撃に白い顎をのけ反らせた。未開通だった場所を割り開かれていく恐怖と戸惑い、そして――罪悪感。
だか背徳的な行為が今のリリーシャの熱をさらに煽っていき、ブツン――と純潔の証が散らされ、最奥へと容易にフィルロードを招き入れていた。
「あつ、い……っ」
繋がったところが、受け入れた彼が、ドロドロに溶けてしまいそうなほどに熱くてたまらない。
侵入してきたのと同じくらいのスピードで、フィルロードが動き始める。
「姫、姫……っ俺は……ッ」
熱に浮かされたようなフィルロードに、リリーシャはギュッとしがみつく。
彼の口から『俺』と聞くのは、久しぶりだった。
いつからだっただろう、彼が『わたし』と言うようになったのは。私のことを、他人行儀に『姫』と呼ぶようになったのは。
「あっ、あっ、んあ……っ、ん、んっああッ」
フィルロードに擦られ、突かれるたびに、リリーシャの身体は従順に喜びの蜜を滴らせる。それを纏ったフィルロードがグチュグチュとした音色を率いながら、彼女の細い道を馴染ませていく。
徐々に加速していくフィルロードの動きと、彼への想い。
すべてがグチャグチャになって、リリーシャの思考を真っ白に染めあげていく。
「フィル、フィルぅうう……、私、私は……はあッ、んあああ、こんな、こんなこ……ふああああっ、ごめんなさ、――んうぅうッ」
リリーシャから無意識に飛び出しかけた言葉が、フィルロードの口づけに奪われる。
上でも下でも粘膜同士が絡み合って、グチョグチョとした生々しい水音が鳴り響く。欲情をさらに駆り立てられた二人は、いつしか限界へと追いやられていった。
「んああッ、あああぁぁっ、フィ、ルぅぅ、も……む、りぃぃで、あああああ――ッ!」
「姫……っ、リリ――――……」
大きな嘆息混じりの、フィルロードの声。
中にほとばしってくる熱いものと混濁していく意識の中で聞こえてきたそれに、リリーシャはそっと瞳を閉じる。零れ落ちていく涙は、駆け巡っていく快感によるものなのか、苛まれる罪によるものなのか、それとも――
それ以上は考えが追いつかないまま、リリーシャはフィルロードの腕の中でひたすら愛らしく、最後の嬌声を放つのだった。
きれいに浮き出た鎖骨より下の部分に、変わった形の痣があることにリリーシャは気がついた。
そういえば、幼い頃にも見た覚えが。
あれは確か、そう。彼と初めて出会った、あの時に――
痣へと無意識に伸ばされていた彼女の白い指が、フィルロードの熱い掌につかまる。
「姫……」
「あ、……っん、んッ」
指先から手の甲、腕、肩、そして首筋、胸元へゆっくりと辿っていたフィルロードの唇が、不意に首と肩の境目辺りで強く吸いついた。ピリッとした痛みに、リリーシャの細身がビクと反応する。
肌に何度もその小さな痛みを受けてそこからじわじわと侵食していく熱と昂りに、彼女はもどかしそうに両膝をこすり合わせた。
リリーシャの二本の足が緩々と抱えられ、フィルロードがその間から上半身を彼女の方へと折ってくる。何か硬いものが布越しに押しつけられて、リリーシャが「んっ」と眉を寄せた。
はああ、とフィルロードから深い嘆息。情欲に濡れた紅の瞳がリリーシャに落とされ、彼女の淡黄の瞳がそれを真っすぐにとらえた。
「すまない、姫……。もう、抑えられそうに、ない……っ」
「私も……、です。早く私の中に来て……、フィルロード……」
もどかし気な金属音に続いて、リリーシャの広げられた両腕に沈んでいくように、フィルロードの猛りを帯びていたものが彼女の中へと入っていく。
「あ……! ああああっ!!」
ゆっくりと、だが確実にフィルロードを飲みこみながら、リリーシャは初めての痛みと衝撃に白い顎をのけ反らせた。未開通だった場所を割り開かれていく恐怖と戸惑い、そして――罪悪感。
だか背徳的な行為が今のリリーシャの熱をさらに煽っていき、ブツン――と純潔の証が散らされ、最奥へと容易にフィルロードを招き入れていた。
「あつ、い……っ」
繋がったところが、受け入れた彼が、ドロドロに溶けてしまいそうなほどに熱くてたまらない。
侵入してきたのと同じくらいのスピードで、フィルロードが動き始める。
「姫、姫……っ俺は……ッ」
熱に浮かされたようなフィルロードに、リリーシャはギュッとしがみつく。
彼の口から『俺』と聞くのは、久しぶりだった。
いつからだっただろう、彼が『わたし』と言うようになったのは。私のことを、他人行儀に『姫』と呼ぶようになったのは。
「あっ、あっ、んあ……っ、ん、んっああッ」
フィルロードに擦られ、突かれるたびに、リリーシャの身体は従順に喜びの蜜を滴らせる。それを纏ったフィルロードがグチュグチュとした音色を率いながら、彼女の細い道を馴染ませていく。
徐々に加速していくフィルロードの動きと、彼への想い。
すべてがグチャグチャになって、リリーシャの思考を真っ白に染めあげていく。
「フィル、フィルぅうう……、私、私は……はあッ、んあああ、こんな、こんなこ……ふああああっ、ごめんなさ、――んうぅうッ」
リリーシャから無意識に飛び出しかけた言葉が、フィルロードの口づけに奪われる。
上でも下でも粘膜同士が絡み合って、グチョグチョとした生々しい水音が鳴り響く。欲情をさらに駆り立てられた二人は、いつしか限界へと追いやられていった。
「んああッ、あああぁぁっ、フィ、ルぅぅ、も……む、りぃぃで、あああああ――ッ!」
「姫……っ、リリ――――……」
大きな嘆息混じりの、フィルロードの声。
中にほとばしってくる熱いものと混濁していく意識の中で聞こえてきたそれに、リリーシャはそっと瞳を閉じる。零れ落ちていく涙は、駆け巡っていく快感によるものなのか、苛まれる罪によるものなのか、それとも――
それ以上は考えが追いつかないまま、リリーシャはフィルロードの腕の中でひたすら愛らしく、最後の嬌声を放つのだった。
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