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しおりを挟む翌日、留学中の王子が母に結婚の申し込みにやってきたが、母はすでにいなかった。
公爵は、『婚約破棄後にプロポーズしてくれた男性に惚れて結婚した』というと王子は笑ったそうだ。
あの公爵令嬢がそんな軽はずみなことをするわけがない。と。
王子はどうやら、頑なに靡かない母を落とすことを楽しんでいたようで、今なら落ちるはずだと思ったらしい。
それを馬鹿正直に公爵に告げた。『落としてみせる』と。
第三王妃が不満なら第二王妃にはできると思う。そう告げた。
公爵は、『王子が今なら落ちると思った通りかどうかはわからないが、娘はその男性のプロポーズに落ちたんだ』と説明した。
口と目を開いて驚く王子はしばらく放心状態。そこに、手紙が届いた。
王都の隣町のホテルからで、
『初夜が我がホテルで行われたことを光栄に思います。ご夫婦となられた確認を致しました。
おめでとうございます。』
と書かれていた。この有名なホテルは信用を大切にしているので嘘偽りはない。
王子に手紙を見せながら、そう告げた。
手遅れを理解した王子はそのまま帰国したそうだ。第三王妃ってありえないわ……
公爵は、次に娘の冤罪を晴らしていった。
嫌がらせをされたと言った令嬢に、『証拠も何もないのに、娘を嫌がらせの首謀者のままにするのなら証拠を見つけるように』と言うと、出てきたのは濡れた本や破れた服。この何が証拠?
昨日濡らしたような本だし、この服を学園で破ったのかと思うような服。
学園長も調査官も苦笑い。
なぜ、これが娘の仕業なのかと公爵が聞くと、『いつも意地悪なことを言うからそうだと思った』と言う。
意地悪なこととはどんなことかと聞くと、『婚約者のいる者にベタベタ触れるものではない』とか『課題は自分でやりなさい』とか当たり前のこと。
学園長と調査官が、それは嫌がらせではないので自分の間違いだと認めないのなら、公爵は名誉毀損で訴えることができるがどうするか?と言うと勘違いだと認めた。謝罪文に署名させた。
公爵はこの証拠を持って娘の元婚約者のところを訪れ、婚約破棄の慰謝料を請求した。
息子が親しくしていた令嬢の言うことを信じ勘違いのまま婚約破棄したのなら、また婚約すればいいという元婚約者の父親に、名誉棄損で訴えられたいのかと言うと慰謝料に応じた。
こいつは自分に似ず、頭の緩い息子の代わりにうちの娘に期待してたからなぁ。
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しかし、高位貴族では母は悪くなかったと知っているが、下位貴族にはあまり浸透しておらず、悪女のまま広まってしまったという経緯があるそうで。
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男爵夫人なのに……
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