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しおりを挟むドーソンの父、公爵は学園で停学処分を受けた後に学園に来なくなった生徒たちの家業とガーランド公爵家との繋がりを調べてくれていた。
前ガーランド公爵との間で契約された内容がいつの間にかすり替わっていた。そんな報告が聞こえる。
問題が起こり始めたのは現ガーランド公爵に代わってから。特にここ半年ほど。
負債を押しつけられて破産、爵位返上、親戚に譲渡、商人は他国に撤退。
ガーランド公爵家はゲルツの仕出かしと共に生徒の家業を潰している。
逆か?潰したい家の生徒が停学になるようにゲルツに頼んでいる?
負債を全部押しつけるために。
契約書はどうやって替えた?相手側の側近を引き込んだ?
いったい、いくつの事業を没にしたんだ?取引先に困るだろうに……
そうか。代わりの取引先の探し方もわからないボンクラなのかもしれない。
前公爵時代の口喧しい担当者をクビにしてそうだからな。
放っておいても金に困って誰も寄ってこなくなりそうだけど、学園は問題だ。
公爵令息という立場で言いなりにさせているのだから。
親との取引を止めると脅されたら、言いなりにできるよな。
ドーソンがいるうちに解決しないとホリーちゃんが可哀想だ。
可愛い姪のために、ドーソンの父は頑張って調査を続けた。
ガーランド公爵夫人の学生時代の男関係は、名前を聞いた3人のうち2人は認めたが1人は否定。
いずれも卒業半年前には別れていたらしく、ゲルツの父親ではない。
ゲルツの父親がガーランド公爵の可能性もあるけれど、疑惑を植えつけることはできる。
でも、取引先とゲルツの学園での所業がリンクしているのなら、ゲルツが我が子ではなくても手放さないかもしれない。
今、できることはガーランド公爵家の取引先に契約書の厳重保管をこっそり促すくらいだ。
その上で負債が少ないうちにガーランド公爵家を切れるなら切る。
息子か娘が学園にいるなら、休学させるのも有りだ。
学園では、本来の学生生活が送れている。嫌がらせもない。
ゲルツはドーソンたちが去るのを待っているのかな?
そうそう、この間、ゲルツを初めて見たの。こっそりと。
何となく、魔道具師になりたい令息ルドルフと似ていた。従兄弟かもしれないしね。
最近、帰りに迎えに来てくれるのはヴィクトル様一人が多い。
この人、子犬みたいで可愛いの。髪がフワフワってしてるし。
ヴィクトル様の妹が、うちの薬草から作られた薬で病気が治ったらしい。
だから、すごく好意的なのかな?
話していると、とても楽しいし癒される人なんだけどなぁ。婚約者はいるだろうしね。
ケンドル様は、公爵令息だし隣国の王太子の従兄弟でもあるんだって。
それは護衛が張り付いているはずだね。
護衛が少ないくらいだけど、ケンドル様がすごく強いらしい。
護衛のラースさんが軽い感じで、ケンドル様は腹黒そうな感じ。
ゲルツに警戒しながら、友人もできないけれども、一週間ほど落ち着いた学園生活を送っていたある日、ひとつの噂が広まった。
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