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しおりを挟む侯爵邸を訪れる日が来た。
持っているドレスの中で、マシなのを選んだが場違いなのは間違いない。
もちろん父と母も同じである。
応接室に通され、お茶を出された時、侯爵様とその弟がやってきた。
両親と共に挨拶をして席に座る。
すると、テーブルの上に紙とペンが置かれた。…ん?
婚姻届?……え?
両親共々、固まって言葉が出てこない。
「どうした?サインをすれば婚姻だ。直ぐに出してきてもらうぞ?」
「侯爵様、私は何も条件を伺っていなくてですね?」
「君の条件はまた別で伝える。
伯爵は援助と人材派遣、これで婚姻を認めたと宰相から伺っています。
その契約はこちら。」
そう言って、契約書とペンを差し出した。
びっくりする金額だ。伯爵領を立て直せる希望が見えた。
「よろしければサインを。それと同時にルビーナ嬢も婚姻届にサインを。契約です。」
父と顔を見合わせた。頷き、お互い領民のために覚悟を決める。
父は二枚、私は三枚、サインをした。
契約書はお互いの家に一枚ずつ、婚姻届は王宮に提出のため侍従が届けに向かった。
婚姻届は三枚に受領印をもらい、両家と王宮に保管される。
「援助金と人材はすぐに伯爵領まで送り届けます。お越しくださりありがとうございました。」
帰宅を促すように扉に手を向ける侯爵に、父が言った。
「ルビーナは?」
「彼女は私の妻になりました。今日からここで暮らしてもらいます。」
今日から?と叫びそうになったが辛うじて我慢した。
「申し訳ございませんが、今日からだとは思わず何も持ってきておりません。」
「着替えも化粧品も用意しているので問題ない。」
その言葉に返す言葉もなくお礼を言って退席する両親を玄関まで見送ることにした。
「いきなりのことで戸惑うが、侯爵夫人になったということだ。
条件は…わからんが、頑張れ!」
「ルビーナ、元気で頑張るのよ。努力家のあなたなら幸せになる道を自分で見つけられるわ。」
「ありがとう。お父様、お母様。今まで育てて下さりありがとうございました。お元気で。」
両親と抱擁を交わし別れた。
執事の誘導でまたまた応接室に戻る。
「改めて、ランドル侯爵のエドワード、25歳だ。」
「俺は弟のニコラス、23歳。」
「ルビーナです。18歳です。よろしくお願いいたします。」
「ああ。ルビーナには私の子を産んでもらう。それ以外に聞きたいことは?」
「兄上、唐突だよ。」
やっぱり子供を産むのか…どうやって?ってその前に。
「実は、来週から王宮侍女の仕事が始まるのですが、それはどうしたら…」
「すまないが、仕事はとりあえず辞退してもらいたい。こちらから伝えておこう。
一応、侯爵夫人としてのマナーや社交を最低限覚えてもらう。
それに、内装や家具を変えたければ弟と侍女頭に相談してくれ。」
やっぱり仕事はダメか…それにしても普通の結婚みたい?
「わかりました。」
「それと、最後に月のものがきたのはいつで次はいつ頃の予定だ?」
また唐突な質問を…
「…確か、3週間ほど前が最後で次は1週間後から5日ほどです。」
「ニック、いつだ?」
「14日辺りかな?」
「では来月14日が初夜だ。…私の噂を知ってるだろう?」
「綺麗好きという、あの?」
「…潔癖で構わない。事実だ。
だから、子作りのための閨は出来やすい日だけの一回にする。
月のものがきたら、また指定日に。ということだ。わかったか?」
「承知しました。」
「不用意に私に触れるな。無意識に振り払うから怪我する恐れがあるからな。
私に何か聞きたいことがあれば、まずニックに言え。
ニックで対処できることは任せる。」
「わかった。じゃあ、部屋に案内するよ。」
「あ、はい。」
エドワードに退席の挨拶をし、ニコラスに付いて部屋に向かった。
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