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しおりを挟む「ここがルビーナの部屋ね。」
扉を開けると、侍女が二人いた。
「彼女たちは、主にルビーナの世話をしてもらう。モニカとカレンだ。
旦那さんはここの侍従と料理人で、またそのうち紹介するよ。」
「「よろしくお願いいたします。」」
「ルビーナです。こちらこそよろしくお願いしますね。」
「じゃあ、しばらく休憩してて。夕食はどうする?部屋が良ければそれでもいいよ?」
「ではお言葉に甘えて今日はお部屋でいただきます。」
「ああ。お疲れさま。ゆっくり過ごして。」
そう言ってニコラスは部屋を出て行った。
「ルビーナ様、お部屋をご説明しますね。」
…クローゼットにはドレスが何着もあった。今着ているのよりもはるかに高そう!
「取り急ぎご用意いたしましたが、すべてルビーナ様のものです。
オーダーでのドレスはまた別にあつらえるとのことです。」
貧乏伯爵家出身には最早どうしたらいいのかわからない……
お茶をいただきながら、この侯爵家の内情を少しずつ聞いた。
侍女・メイドに独身女性はいない。
女性は決まった者以外はなるべく侯爵様の視界に入らない。
使用人の待遇は良い。お休みもある。
前侯爵様がお亡くなりになり、現侯爵様になったこの5年で一層良くなった。
侯爵様の潔癖症は13歳頃からひどくなったらしい。
身の回りのことはなんでもご自分でされている。
潔癖以外は特に問題はない。傲慢でも偏屈でもないご主人である。
弟のニコラス様は侯爵様の補佐をしておられる。
兄弟仲はとても良い。
夕食をいただき、入浴では髪や体を洗うのを手伝ってくれた。(高位貴族っぽい気分)
肌触りのよい夜着をまとい、フカフカでフワフワなベッドで熟睡……
気づけば朝で、侍女が着替えやお化粧を手伝ってくれた。
朝食室に案内されると、エドワードとニコラスが座っていた。
「おはようございます。」
「「おはよう。」」
席に案内されると、ニコラスが聞いてきた。
「よく眠れた?そのドレス、似合ってるよ。」
「ぐっすり眠ってしまいました。
侯爵様、ドレスやその他いろいろご用意下さりありがとうございます。」
「いや。……それより、侯爵様はやめてくれ。一応、君の夫だ。」
「では、旦那様?エドワード様?」
ここでニコラスが一押しした。
「家の中では名前でいいんじゃないか?いっそのことエドとニックでどう?」
「エド様?ニック様?」
「……まぁ、それでいいか。」
エドワードは意外にも愛称を許可した。家の中だから何でもよいのだろう。
「明日から午前中にマナーと社交に詳しい講師が来ることになった。
今日は屋敷内の案内や使用人たちの紹介をする。」
「わかりました。」
この侯爵家はお茶も夕食も朝食も美味しい。綺麗に食べてしまった。
ルビーナは元々王宮侍女になる予定だったため、それほど覚えるマナーはない。
学園でも淑女教育の講義を取っており、優秀であった。
問題は社交だが、侯爵と共に……ということはないであろう。
侯爵は侯爵、夫人は夫人の社交がある。が、最低限でよいと言われている。
この侯爵邸でお茶会をすることはありえない。
信頼できる高位貴族の夫人を数人紹介するので、そのお茶会くらいでよいらしい。
全てお膳立てされているようだ。ありがたいのかな?ありがたいよね。
そう言えば、私への条件って?
子供を産むことと最低限のマナーと社交ってこと?…当たり前のことだけど?
他にも何かあるのだろうか?
ニコラスに聞いてみた。
「あぁ、条件?他にもあるよ?『この侯爵家の中での出来事を外で話さないこと』かな?
今はまだわからないだろうけど、そのうち、この事だなってわかるよ。」
…うん。わからないから今はいいかな?
そこそこ侯爵家に馴染みながら3週間が経った。
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