26 / 26
26.
しおりを挟むルーカスが侯爵になっているため、仕事に混乱はない。
ただ、エドワードに会えることがなくなっただけだ。
死は誰にでも平等に訪れる。早いか遅いかの差である。
いろんなことがどんどん思い出となり、寂しさはあるがエドワードがいない半年が過ぎた。
この国では半年間、喪に服す。
なるほど。半年というのは気持ちの切り替えを必要とする期間というわけだ。
喪があけて、これからのことを考える。
私はどうするべきであるのか。
このままここにいる?領地か王都で一人で暮らす?
前侯爵未亡人という立場での過ごし方がわからない。
「ルビーナ、話があるんだけど。今いいかい?」
「ええ。」
ニコラスが庭に連れ出してくれた。風が気持ちいい。
「ルビーナ、最近考えてることが増えたね。理由は想像がつきそうだけど。
でも、今から俺が言うことも考えの中に入れてほしい。」
ニコラスがルビーナに向き合って目を見て言った。
「ルビーナ、愛してる。結婚してほしい。」
ルビーナは目を見開いた。
「ルビーナが俺の恋人になってからすぐに気づいた。
君が、兄上の妻であろうとすることに。君は俺の気持ちに言葉で答えることはなかったね。
でも、だからこそ、好きだよって言ってきた。
愛してるとは言わなかった。…言えなかった代わりに…大好きだよって。
愛の意味を軽く取られたくなかった。でも重すぎても負担になるから。
『恋人』だから、いつか俺が離れていくことも考えてたよね?
ずっと、夫と恋人の差って大きいと思った。
だから、俺はこの言葉を伝えるために兄上よりも少しでも長く生きたかったんだ。」
…そう。ルビーナはニコラスの『好き』という言葉に言葉で答えたことはない。
エドワードの妻である。それをルビーナの矜持とした。
それがなければ、エドワードとニコラスと共に過ごせない。
ニコラスに溺れるわけにはいかなかったのだ。…みんなのために。
ニコラスの気持ちを疑っているわけではなかったが、未来は誰にもわからない。
漠然とした不安がずっとあった。言葉にすると、堕ちる。そう思った。
何年経っても弱い自分が情けなかった。
「兄の妻のままでいたいのならそれでもいい。でも、どこに行こうと付いていくよ。噂になってもね。
別れる気はない。君は俺の最初で最後の恋人だ。身も心もね。君以外いらない。」
身も心も?!…意外な言葉が返ってきた。ニコラスの愛は想像以上に重いようだ。
抱きしめられて、唇に軽く口づけをされる。…逃がす気がないね?
「一応、『愛してる』『結婚してほしい』それぞれに答えをくれないか?」
今の気持ちでいいよ?って軽くない?
私の答えは……「 」
<終わり>
…ハッピーエンド?
579
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
【10話完結】 忘れ薬 〜忘れた筈のあの人は全身全霊をかけて私を取り戻しにきた〜
紬あおい
恋愛
愛する人のことを忘れられる薬。
絶望の中、それを口にしたセナ。
セナが目が覚めた時、愛する皇太子テオベルトのことだけを忘れていた。
記憶は失っても、心はあなたを忘れない、離したくない。
そして、あなたも私を求めていた。
離婚を望む悪女は、冷酷夫の執愛から逃げられない
柴田はつみ
恋愛
目が覚めた瞬間、そこは自分が読み終えたばかりの恋愛小説の世界だった——しかも転生したのは、後に夫カルロスに殺される悪女・アイリス。
バッドエンドを避けるため、アイリスは結婚早々に離婚を申し出る。だが、冷たく突き放すカルロスの真意は読めず、街では彼と寄り添う美貌の令嬢カミラの姿が頻繁に目撃され、噂は瞬く間に広まる。
カミラは男心を弄ぶ意地悪な女。わざと二人の関係を深い仲であるかのように吹聴し、アイリスの心をかき乱す。
そんな中、幼馴染クリスが現れ、アイリスを庇い続ける。だがその優しさは、カルロスの嫉妬と誤解を一層深めていき……。
愛しているのに素直になれない夫と、彼を信じられない妻。三角関係が燃え上がる中、アイリスは自分の運命を書き換えるため、最後の選択を迫られる。
【完結】 愛されない私と隠れ家の妖精
紬あおい
恋愛
初恋は心に秘めたまま叶わず、結婚した人まで妹を愛していた。
誰にも愛されないと悟った私の心の拠りどころは、公爵邸の敷地の片隅にある小さな隠れ家だった。
普段は次期公爵の妻として、隠れ家で過ごす時は一人の人間として。
心のバランスを保つ為に必要だった。
唯一の友達だった妖精が、全てを明かした時、未来が開ける。
【完結】旦那様!単身赴任だけは勘弁して下さい!
たまこ
恋愛
エミリーの大好きな夫、アランは王宮騎士団の副団長。ある日、栄転の為に辺境へ異動することになり、エミリーはてっきり夫婦で引っ越すものだと思い込み、いそいそと荷造りを始める。
だが、アランの部下に「副団長は単身赴任すると言っていた」と聞き、エミリーは呆然としてしまう。アランが大好きで離れたくないエミリーが取った行動とは。
「離婚しよう」と軽く言われ了承した。わたくしはいいけど、アナタ、どうなると思っていたの?
あとさん♪
恋愛
突然、王都からお戻りになったダンナ様が、午後のお茶を楽しんでいたわたくしの目の前に座って、こう申しましたのよ、『離婚しよう』と。
閣下。こういう理由でわたくしの結婚生活は終わりましたの。
そう、ぶちまけた。
もしかしたら別れた男のあれこれを話すなんて、サイテーな女の所業かもしれない。
でも、もう良妻になる気は無い。どうでもいいとばかりに投げやりになっていた。
そんなヤサぐれモードだったわたくしの話をじっと聞いて下さった侯爵閣下。
わたくし、あなたの後添いになってもいいのでしょうか?
※前・中・後編。番外編は緩やかなR18(4話)。(本編より長い番外編って……orz)
※なんちゃって異世界。
※「恋愛」と「ざまぁ」の相性が、実は悪いという話をきいて挑戦してみた。ざまぁは後編に。
※この話は小説家になろうにも掲載しております。
愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください
無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――
唯一の味方だった婚約者に裏切られ失意の底で顔も知らぬ相手に身を任せた結果溺愛されました
ララ
恋愛
侯爵家の嫡女として生まれた私は恵まれていた。優しい両親や信頼できる使用人、領民たちに囲まれて。
けれどその幸せは唐突に終わる。
両親が死んでから何もかもが変わってしまった。
叔父を名乗る家族に騙され、奪われた。
今では使用人以下の生活を強いられている。そんな中で唯一の味方だった婚約者にまで裏切られる。
どうして?ーーどうしてこんなことに‥‥??
もう嫌ーー
最強魔術師の歪んだ初恋
黒瀬るい
恋愛
伯爵家の養子であるアリスは親戚のおじさまが大好きだ。
けれどアリスに妹が産まれ、アリスは虐げれるようになる。そのまま成長したアリスは、男爵家のおじさんの元に嫁ぐことになるが、初夜で破瓜の血が流れず……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる