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しおりを挟む義兄上に言われた通り、思い出しながら書き記したものを改めてみると、疑問点がいくつかある。
アイリーンが実家に戻る前日に届いた手紙というのが、僕が娼館に行く日時を記したものであった可能性が高いように思う。
僕とマーキュリーの話を聞いていたのは誰か。
その聞いていた誰かがアイリーンに手紙を送ったのではないか。
あるいは聞いていた誰かが違う者に話して、その違う者がアイリーンに手紙を送ったのではないか。
それと、アイリーンに確認しないことにはわからないが、本当に僕との閨事情をお茶会で話したのだろうか。
それがどうにも腑に落ちない。
あのアイリーンがお茶会で僕を貶めるような発言をするだろうか。いや、しない。
何度考えても、マーキュリーが小耳に挟んだという内容は間違っている気がする。
というか、マーキュリーは誰から聞いたんだ?
直接か?間接か?
直接誰かから聞いたのであれば、名前を教えてもらおう。
間接的に誰かと誰かが話していたのを聞いてしまったのであれば、心当たりを教えてもらいたい。
順番的には……
①アイリーンがお茶会で夫婦の閨事情を話す
②僕ら夫婦の閨事情をマーキュリーが小耳に挟む
③マーキュリーが僕を娼館に誘う
④娼館に行く日時を誰かが聞いていた、あるいは、マーキュリーから漏れた?
⑤アイリーンが誰かから僕が娼館に行く日時を教えられる(おそらく手紙)
⑥僕が娼館に出入りするのをアイリーンが確認する
⑦僕が条件を破ったと思ったアイリーンは実家に帰ってしまって離婚の危機
こんな感じだろうか。
僕は、義兄上に手紙を送った。『時系列に纏めたので説明に行ってもいいか?』と。
すると、こちらに来ると言われ、マレック侯爵と共に義兄上もやってきて、僕が纏めたものを今、読んでいる。
「うん。流れはわかった。
まぁ、私も君が娼婦を相手にしたというのは信じ難いことではあったし理由があるとは思った。
ただ、迂闊ではあったな。アイリーンに確認すれば良かっただけだ。」
マレック侯爵の言葉に、その通りだと思った。
ただ、『あなたに満足していない』と直接言われるのを恐れただけだ。
まぁ、その気持ちもわかると侯爵たちは苦笑してくれたが。
「それに、君が感じた疑問点。私も疑問に思う。
きっかけはアイリーンが行ったお茶会なのだろう。
だが、アイリーンがどんな話をしたかは、今はまだ本人に聞ける状態ではない。
しかし、不満などと人前で言うような娘ではない。
誰かが曲解したか、妬んで嘘をばら撒いたか。それを君の友人が聞いたのかもしれない。」
「そうですね。手紙のことも聞けませんか?」
「今は……この話題はまだ避けたい。あの子は今、少し不安定なんだ。
すまないが、君の釈明もまだ先になる。その間にこの疑問点を解決していってくれないか?」
「アイリーンは……そんなに具合が悪いのですか?」
「思った以上にショックだったようだ。
だが、離婚話は延期になった。ただ、1年間は会わないと言っている。
私もアイリーンの意思を尊重し、1年間会うことを禁止する。」
………は?………え?………い、1年間?結婚してまだ3か月なのに?
「そんな………せめて、ひと月に一度くらい会えませんか?」
「それでは意味がない。アイリーンは忘れられない傷を負ったんだ。
回復には時間がかかる。
体調が上向きになった時に今回の一連の流れも私から説明するつもりだ。
アイリーンが君を信じるか信じないかはわからないがね。
だから、それまでに疑問点も解決してほしい。」
「わかりました。アイリーンが良くなれば1年の期間も短くなるでしょうか?」
「う~ん。あの子は少し頑固だからね。まぁ、望みは薄いかもしれないが可能性がないこともない。」
「わかりました。頑張ります。」
「ああ。それと、他の女に手を出したら、即離婚だからね。」
「それは絶対にあり得ません。」
マレック侯爵が僕を信じてくれていることで、アイリーンとの可能性が絶望的ではないと少し気が楽になった。
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