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しおりを挟む僕がまず調べなければならないのは、お茶会での会話の内容だ。
その場にいた人たちに話を聞く必要がある。
しかし、問題はなぜそのことについて僕が調べているのか、ということだ。
『妻が夫との閨事の不満を言ったのは事実か?』なんて僕が聞いて答えてくれる夫人あるいは令嬢がいるだろうか。
いや、それでも調べてみなければわからない。
アイリーンが行ったお茶会はどこのだったか……アイリーンの専属侍女もマレック侯爵家にいるために聞くことができない。他の侍女でも知っているだろうか。侍女長なら知ってるか。
「あぁ、サドルデン伯爵家のお茶会ですね。
学生時代は特に親しくなかったそうですが、お祝いの言葉をお伝えしたいというご招待でした。
無下にもできず、アイリーン様はご参加なさったようでしたが。」
「そうか。サドルデン伯爵家、だったか。」
あの家の令嬢からは何度か縁談の話があったはずだ。僕はアイリーン一筋だったから断っていた。
僕はその話をアイリーンにしたことはない。
……既に嫌な予感がするのは気のせいか?
令嬢が悪意のある質問の仕方をしたのではないかと疑ってしまう。
あるいは、彼女本人が嘘の噂を広げたのかもしれない。
「アイリーン様は、親しいご友人方がそのお茶会に誘われていなくてギリギリまで悩んでおられました。」
「交流がなかったにもかかわらず、お茶会に誘った意図は何だと思う?」
「幸福にあやかりたいか、夫や姑の愚痴を言わせてほくそ笑みたいと言ったとこでしょうか。」
「だよな。おそらく招待した令嬢に婚約者はまだいなかったと思う。
どちらかと言うと、弱みを握りたかったとか噂のネタを探してたといった感じかもしれない。」
「……アイリーン様がお戻りにならないのはそのせいなのでしょうか。」
「うん。アイリーンが言った言葉を意図的に嘘の言葉にしたのか、僕と不仲の噂があるらしくてね。
それに加えて僕が愚かな行動をしてしまったことで実家に帰ってしまったんだ。
アイリーンを連れ戻すために、いったいどこの誰が何のために噂を広めたのか調べている。
お茶会の参加者リストを手に入れたいんだけどなぁ。」
ほとんど事実に近いことではあるが、アイリーンが僕に怒って実家に帰っているように話した。
「リストが手に入るかわかりませんが、ある程度の参加者は侍女の情報網でわかるかもしれません。
ですが、サドルデン伯爵令嬢の懇意にしている令嬢ばかりの可能性もあります。」
「あぁ、その可能性もあるのか。どんどん嫌な予感がしてきてならないんだが。」
「他にも何か気にかかることがあるのですか?」
「ああ。僕に不仲についての噂を教えたのが、友人のマーキュリーだ。
マーキュリーは……サドルデン伯爵令嬢の従兄なんだ。」
「繋がっているかもしれない、とお思いなのですか?」
「マーキュリーは令嬢から聞いた可能性が高いんじゃないかと思う。
事実だと思って教えてくれたのか、嘘だと知ってて僕を騙したのか。
それによって、マーキュリーとも今後の付き合いを変えることになると思う。」
マーキュリーからも従妹のサドルデン伯爵令嬢との婚約を考えてくれないかと言われたことがある。
だが僕は、『ずっと前から好きな人がいる。その人には婚約者がいるけど、仲良くは見えない。いつか、婚約が解消されることがあった時に僕が申込みをしたい。そのために僕はまだ婚約する気はないんだ』と言った。
さらに、『君がまたその従妹との婚約を勧めてくるようなことがあれば、僕は君とこれ以上友人として付き合う気はない』と言ったので、マーキュリーはそれから従妹を勧めるようなことを言わなかった。
だが、娼婦を勧めたり、覗き部屋の予約まで取ったり、今思えば僕が『娼館に行った』事実が欲しかっただけと考えることもできる。
その事実をアイリーンに見せることが目的だったとすれば、目論見は成功したということになるのだから。
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