認知裁判とその後

しゃーりん

文字の大きさ
17 / 20

17.

 
 
アメリアは、両親に報告して婚約破棄の手続きを進めると言って、エドワードとサミアに帰ってもらった。

頭の悪い二人はアメリアの言葉を勘違いして、サミアのお腹の子はクレックス伯爵家の跡継ぎであるエドワードの妹に認知してもらえばいいのかと訳のわからないことを言いながら出て行った。 
 
噛み合わない会話はこれほど苦痛なのだとアメリアは知った。 
 
疲労困憊ではあるが、両親に報告しなければならないため、アメリアは両親の元へと向かった。

エドワードがサミアと来たことも、話の内容も、既に両親には伝わっているのだと二人の顔を見ただけでアメリアは悟った。


「……エドワードとの婚約破棄をお願いします。嬉しそうですね?前から知っていました?」

「妊娠までは耳に入っていなかったけれど、浮気していることはね。」

「なぜ教えてくれなかったのですか?」

「アメリアも何となく気づいていたのでしょう?それなのに、まだその覚悟がなかった。違う?」


確かに、嘘が苦手なエドワードを問い質すことは簡単だとアメリアは知っている。
それでも見て見ぬ振りをしていたのは、両親の忠告を無視してまでエドワードを選んだ自分の甘さが情けなく、浮気を許せるかどうか、葛藤し続けていたからである。

反省するなら一度だけ許そうか、いや、一度したなら二度も三度もあるかもしれない。

そう思いながら、実は浮気を許すことはできないと最初からわかっているのに。
 

「実はね、エドワードが浮気を始める前から、この婚約には問題があると判明したの。
エドワードって家族の誰に似ていると思う?」


クレックス伯爵には全く似ていない。
どちらかと言えば夫人なのだけど、夫人とエドワードは血が繋がっていない。
妹のリリアンは夫人に似ている。
……改めて考えてみると、わけがわからない。


「あそこの家は少しややこしいでしょう?エドワードは伯爵と前妻の子であるはず。前妻はエドワードを出産後に精神的におかしくなって離縁した。今の夫人は後妻よね。
でもね、本当はエドワードは今の夫人が産んだ子みたいなの。前妻が産んだ子は女の子だったそうよ。」
 
「え、どういうこと?今の夫人は伯爵の元愛人でエドワードを産んだってこと?女の子は?」

「女の子の行方はわからないの。前妻は女の子を産んだはずなのに男の子を産んだことになっていて、顔も違うのに信じてもらえなくて、精神的におかしくなってしまったらしいの。」


産んだはずの我が子は消え、見知らぬ赤子がエドワードと名付けられてお前の子だと言われたらパニックになるかもしれない。

妻と愛人、二人が妊娠したことで伯爵がすり替えることを思いついたのだろう。
当時は『男子継承優先』だったから。


「病気の妻と離縁し、愛人と再婚。エドワードは庶子なのに嫡子。当時、それを悟られることなくやってのけたの。悪質よね。気の毒だけど、今の私たちに関係あるのは違う問題よ。」
 
「違う問題?」

「ええ。エドワードは、クレックス伯爵の子ではない可能性が高いわ。」


クレックス伯爵の子ではない?

母が、この婚約に問題があると言ったのは、そういうことだった。
 

 

あなたにおすすめの小説

婚約者を寝取った妹に……

tartan321
恋愛
タイトル通りです。復讐劇です。明日完結します。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

わたくしの婚約者が病弱な幼馴染に縋り付かれた…あれ?

ぼん@ぼおやっじ
恋愛
ある日私の婚約者に幼馴染から連絡が来ました。 病気にかかって心細いから会いたいというのです。 これって最近聞いた… 私たち死一体どうなってしまうのでしょう…

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜

まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。 ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。 父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。 それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。 両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。 そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。 そんなお話。 ☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。 ☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。 ☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。 楽しんでいただけると幸いです。

【完結】私の婚約者の、自称健康な幼なじみ。

❄️冬は つとめて
恋愛
「ルミナス、すまない。カノンが…… 」 「大丈夫ですの? カノン様は。」 「本当にすまない。ルミナス。」 ルミナスの婚約者のオスカー伯爵令息は、何時ものようにすまなそうな顔をして彼女に謝った。 「お兄様、ゴホッゴホッ! ルミナス様、ゴホッ! さあ、遊園地に行きましょ、ゴボッ!! 」 カノンは血を吐いた。

殿下をくださいな、お姉さま~欲しがり過ぎた妹に、姉が最後に贈ったのは死の呪いだった~

和泉鷹央
恋愛
 忌み子と呼ばれ、幼い頃から実家のなかに閉じ込められたいた少女――コンラッド伯爵の長女オリビア。  彼女は生まれながらにして、ある呪いを受け継いだ魔女だった。  本当ならば死ぬまで屋敷から出ることを許されないオリビアだったが、欲深い国王はその呪いを利用して更に国を豊かにしようと考え、第四王子との婚約を命じる。    この頃からだ。  姉のオリビアに婚約者が出来た頃から、妹のサンドラの様子がおかしくなった。  あれが欲しい、これが欲しいとわがままを言い出したのだ。  それまではとても物わかりのよい子だったのに。  半年後――。  オリビアと婚約者、王太子ジョシュアの結婚式が間近に迫ったある日。  サンドラは呆れたことに、王太子が欲しいと言い出した。  オリビアの我慢はとうとう限界に達してしまい……  最後はハッピーエンドです。  別の投稿サイトでも掲載しています。

完結 愛人と名乗る女がいる

音爽(ネソウ)
恋愛
ある日、夫の恋人を名乗る女がやってきて……