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ジャレッドとリリーベルの息子サフィルはすくすくと成長している。
よく泣き、よく笑うサフィルは、クレセント公爵家をより明るくしてくれていた。
リリーベルは出産の影響もなく元気で、乳母がいても自分の母乳を与えている。
貴族の女性は母乳を与えるのは乳母の役目だと、早く断乳して体形を戻し、社交界に復帰することを考えるのだが、リリーベルはあまりにも母乳が出るため、出る間は飲ませようと思ったようだ。
もちろん、ジャレッドは反対しなかった。
医師によると、母乳が出ている間は月のものが止まっているために妊娠することはなく、断乳が早ければ月のものも早く再開するため次の妊娠も早く望める可能性があるらしいが、続けての妊娠は母体に負担があるかもしれないらしい。
ジャレッドはリリーベルに負担をかけたくないため、次の子供は一年は空けようと思った。
サフィル誕生の祝いは、ジャレッドの実母の実家、テールナー伯爵家からも届けられた。
母の兄であるテールナー伯爵とは何度か挨拶はしたがタイミングが悪く、ゆっくり話をしたことがなかった。
この機会に話をしてみたいと思い、ジャレッドは伯父である伯爵と会う約束をした。
公爵には内緒で。
「お祝いをありがとうございました。」
「いや、おめでとう。……今は伯父として会話をさせてもらってもいいかな?」
「もちろんです。僕も伯父上と呼ばせていただきます。」
公爵の息子となったジャレッドに、伯爵といえども伯父は口調に悩んだのかもしれない。
「君は自分の母セレーナのことが知りたいのか?」
「そうですね。公爵からは失踪後の情報は何も聞いていませんが、伯父上にも連絡はなかったのですか?」
「……いや、一度だけ手紙が届いたよ。クレセント公爵には話していないが。」
「手紙が?」
ということは、本当に自分から出て行ったのか。
騎士と駆け落ちしたという話もあったが、事実だったと?
「君は実の両親の結婚についてどう聞いている?」
「父が亡くなった後、母からはクレセント公爵から父との結婚に反対されていたと聞きました。だから出て行かなければならないと。」
「うん。そうだな。元々は前公爵が決めた結婚だった。しかし、前公爵が亡くなって跡を継いだ現公爵は、弟のラモン殿にはもっといい縁談があると婚約を解消しようとしたんだ。だがセレーナとラモン君は思い合っていてね、それを拒んだ。公爵家の保有する爵位を譲られるはずだったんだが、その話もなくなった。」
「それで両親は領地で働いていたということですか?」
公爵の弟という立場ではなかったように思う。
「それでも妹は幸せだったはずなんだ。そうだろう?」
「そのはずです。父が亡くなるまで、幸せに暮らしていました。なのに僕を置いて出て行ったのはなぜだったのですか?」
「殺されると思ったから。そう手紙には書いてあった。」
「殺される?」
誰に?
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