分厚いメガネを外した令嬢は美人?

しゃーりん

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研究所で働き始めて10日ほど経った朝、出勤途中でカーティス様にお会いした。 
 

「おはよう、ミーシャ。今日の夜、家に行っていいかな?」

「おはようございます。夜ですか?大丈夫ですけど、何かありました?」

「両親が近況を知りたいみたいでね。さすがに呼ぶのはまだ早いから聞いて来いって。
 夕食を食べながら話をしよう。マイラには俺の分も作ってくれるように頼んでおくよ。」

「わかりました。楽しみにしていますね。」




ミーシャと別れたカーティスが騎士団で見回り報告を終えると、相棒のセオドアが聞いた。

「さっきの子がミーシャちゃんでしょ?ちゃんと紹介してよ。
 相棒が顔を見て話せる令嬢って貴重だよ。あの子もお前が平気そうだけど。」

「そう言えば、ミーシャは俺の外見に何か言ったことも見つめられたこともないな。
 いや、体格がいいとは言われたか?話の流れで。」

「メガネを外した顔ってどんなだろ?」

「うちの家族が言うには美少女らしいぞ?
 自分の顔はメガネがないと見れないから自分の素顔を知らないらしい。」

「はははは。う、嘘だろ?それ笑えるんだけど。」


俺は聞いた時、呆気にとられたよ。


「それと、世間に疎いから美醜がイマイチ良くわかっていないようだ。
 美少女って言われても、気になったのが『少女』の部分だったらしいし。」

「面白いねぇ。何歳だっけ?」

「17歳だな。さすがにもう少女とは言い難いだろう。この一年でいろいろと成長したしな。」

「お前、結構ちゃんと見てるんだな。そんなに気に掛けるなんて。」

「休みのたびに、じー様のところに行ってたからな。
 じー様と同じ目線でミーシャを見守っているのかも。」

「…お前、まだ若いんだからな。同い年なのを忘れるな。」


 

昼休憩にミーシャの家に行って、俺の夕食もマイラにお願いした。
じー様が住んでいた時も、たまに夕食を食べに行っていたからマイラは量を知っている。
というか、まだこの家に俺の部屋があるままだろう。



夕方にミーシャが帰る途中、またカーティス様にお会いした。
会うときは会うものなんだなぁと思っていると、報告したら帰れるからと一緒に騎士団に向かうことになった。

その時に紹介してもらったのが相棒のセオドア様。伯爵家の方だそうだ。


「よろしくね。ねぇ、念のため素顔も知っておきたいんだけど、メガネ外せる?
 万が一、メガネが破損した場合とか動けないでしょ?
 ミーシャちゃんだってわかってたら、家まで送れるし。」

「ああ、破損だなんて考えたことがありませんでした。怖いですね。いいですよ。外します。」


隣でそんな会話をしているとも気づかずにカーティスが報告を終えると、急に周りが静かになった。
不思議に思って見渡すと、ミーシャとセオドアの方を見ていた。 


「どうした?」


振り返ったミーシャは……美少女だ。

少女と言いたくなる気持ちがわかる。化粧をしていないから余計にそう思うんだ。


ミーシャの素顔を見た男どもがヒソヒソと呟いている。
『メガネを外すと美人って通説は聞いたことあるけど本当なんだ』
『メガネ美人って言葉もあるけど似合うって自信がある令嬢しかメガネをしないってな』
『令嬢でメガネって稀だもんなぁ』
『分厚いメガネ姿が印象的過ぎて他の部分に気が向かないんだよ』



俺はこれから先しばらくは質問攻めに合う気がしながらミーシャを見つめていた。





 

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