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ある夜、カーティスはセオドアと飲みながら話をしていた。
「なぁ、ミーシャちゃんって前侯爵未亡人って肩書だろ?
侍女や護衛はいなくていいの?」
「元々、子爵令嬢だった時からいなかったんだ。
そばに人がいることに慣れていないから、自由にさせてやりたいと思っていたんだけど。」
「今はあのメガネがあるから大丈夫だろうけど、メガネを外したらダメだろ…」
「そうなんだ。だから、気長に研究をしてくれたらいいんだけど…20年くらいかけて。」
「だよなぁ。結婚する気なんて全くなさそうだし。
でも令嬢っぽくないところが子爵・男爵の次男三男の狙い目だよな。
お嬢様育ちに満足させられるような収入や爵位がなくても気にしないだろ?」
「そうだな。家事はしたことはないからメイドは必要だけどな。
まぁそれも研究員を辞めたら覚えて自分でしそうだけど。」
「薬がいつ出来るか。それによってミーシャちゃんの状況も変わりそうだな。
侯爵様は?何も言ってないのか?」
「父はいつでも護衛をつけることは可能だと。
構いたくてウズウズしているんだよなぁ。うちの家族は。
何かあってからでは遅いのはわかっている。
が、何もないのに護衛をつけると言ってもミーシャは断るだろうし。」
やっぱり陰から見守らせるべきかな。
「……お前たちが結婚すれば、護衛をつける理由にもなるんじゃないか?」
「は?結婚?俺とミーシャが?……形だけか。
俺を狙う令嬢から守るために護衛が必要だとでも言うのか?
それなら普通に護衛をつけるように言う方が面倒事にならなくていいじゃないか。」
「何で形だけなんだよ。本当の結婚。
お似合いだと思うよ?
遅かれ早かれミーシャちゃんはお前が気にかけている女性だと広まる。
何度も一緒にいるところを見られているだろ?しかも普通に会話をしているところを。
身内だと説明しても許せない令嬢はいるし、利用しようとする令嬢もいるかもしれない。
というか、もうヤバいんじゃない?
ミーシャちゃんの素性を洗い出してから接近しようとする令嬢は、まだ時間がかかるかもしれない。
でも、短絡的な令嬢はミーシャちゃんを見かけたら何を言い出すやら……」
「あー………」
しまったな。確かにそうだ。
令嬢と親しくならないように振舞っている俺が連れ歩いた女性。
良い意味でも悪い意味でも目立ってしまった気はする。
「護衛、必要だな。」
「ああ。」
元々、貴族令嬢なんだ。
侍女や護衛がそばにいることに慣れていないとしても、必要なことだと諦めてもらおう。
それに、ミーシャはたった1年であのジャンカ国の文字を解読した。
目の薬に関しても意外に早く完成させるかもしれない。
そうなると、どの道護衛が必要になるんだ。
結婚、か。俺と一緒になれば面倒事が増えるだけだろう?
侯爵位を継ぐわけでもないのに、どうして令嬢たちはこんな顔だけの男を好むのか不思議だ。
侯爵家次男と前侯爵未亡人。
純粋な貴族としての生活に馴染めない俺たちが、ミーシャのあの家で仲良く暮らしていく。
一瞬、思い描いたそんな幸せそうな光景にカーティス自身が驚いた。
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