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しおりを挟む今、婚約を解消するわけにはいかない。
それはレイド家にとっても、ブルーエ家にとっても言えること。
ならば、お互いが納得できる落としどころが必要だった。
改めてブルーエ家を訪れたレイド家は、結婚を断られることはないと自信満々のブルーエ伯爵に対して条件を出すことにしたのだ。
「ブルーエ伯爵、あなた方の望みは伯爵令嬢であるサリューシアをティム殿と結婚させること。
そして、リムという子供をサリューシアの嫡子にすることを認めることですよね?」
「ああ、そうだ。金をつぎ込んでいるこの共同事業にレイド伯爵も賭けているでしょう?
今更手を引くに引けない状態なのではわかっていますよ。
あぁ、うちは違約金を払ってもらえば、それでも構いませんがね。」
「何を言うのですか。サリューシアとの結婚がなくなって困るのはブルーエ家ですよね。
そちらが優位というわけではないですよ。
こちらも婚約解消の慰謝料を請求することが可能なのでね。
だが、お互いに領民のことを考えると、事業の中止は痛手です。
なので、こちらも条件を出します。」
「条件?……聞いてみましょうか。」
「まず、子供の母親と早く手を切ってください。
嫡子にするのであれば、産みの母親の存在は邪魔です。
自分の子供だと言ってはいけないことを言い含めて追い出してください。」
「え……サリューシア嬢との結婚はまだ先なので、それまでは母子で過ごしてもいいのでは?」
ティムがレイド伯爵である父に対してそんな愚かなことを言った。
「君はサリューシアを馬鹿にしているのか?
平民時代にできてしまった子供だったから、それはまだ許せる。
だが君は婚約者がいるにも関わらず、その女と未だに関係を持っているそうだな。
しかもこの屋敷内で堂々と。これを裏切りと言わずしてどうする?
サリューシアはここに嫁ぐのだぞ?
愛人と入れ替わりに妻が屋敷に入るなど、聞いたことがない愚かな行為だ。」
ティムは父から非難され、言葉が出ないようだった。
「ふむ。確かにな。あの女の処遇を忘れておった。
ティム、もう二度と我々にも子供にも会いに来ないように言い含めて慰謝料を渡して追い出せ。」
「……わかりました。」
リズにどう納得させたらいいのか、と悩んでいるような顔だった。
ここで、サリューシアも言うことにした。
「私からも条件があります。私はティム様と、白い結婚を望みます。」
「なっ!それは……」
ブルーエ伯爵は難色を示し、ティムは首を傾けて聞いてきた。
「その白い結婚とは何でしょうか。」
「私はティム様と閨事をする気はないということです。
私はあなたの子供を産む気はありません。
子供が出来れば、なぜ私の子ではなく愛人の子が嫡子になったのかと疑問に思われます。
それならば、私に子供ができないと思われる方が納得されると思います。」
「それはそうだが、っ駄目だ。やっぱり産んでもらわないと。」
ブルーエ伯爵の切羽詰まった言い方に、何か理由がある気がした。
その理由を問い質そうとした時、扉がノックされて返事をする前に扉が開かれた。
入って来たのは………
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