私が嫁ぐ予定の伯爵家はなんだか不穏です。

しゃーりん

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テオルドの後ろにいたビリーという男が、領地から王都までリズとリムを連れて来たらしい。

ということは、リズがここに来たことはテオルドが仕組んだことのようだ。

それにしても、元の住まいまで送って行けとはなかなか図々しいことを言うが、だからこそ伯爵家に居座り愛人として過ごせたのだろう。

ビリーは苦笑して言った。


「まぁ、ちょうど領地へと向かう幌馬車はありますね。
 荷物と一緒でよければ、あなた方が座れる場所くらいはあります。
 御者にこちらに寄るように伝えましょう。よろしいですか?伯爵様。」


ビリーはリズに言った後、伯爵にも確認を取った。


「ああ、そうだな。それくらいはいいだろう。」

「では。そのように。3時間後くらいに来るように伝えますので荷物を纏めておいてください。」

「やった!よかったね。ティム。タダで馬車に乗せてもらえるよ!」

「あ、ああ。」


ティムと帰れることに浮かれているリズと、まだ現実を受け止めきれないティム。

ティムは母の言葉を思い返していた。

母は今の伯爵と『付き合ったことがある』と言った。
確かに『ティムの父親』だとは言わなかった。
母が嘘をついていたわけではない。
産み月は誤魔化したらしいが養育費を迫っていなかったということは気の迷いだったのだろう。
あるいは、伯爵を騙すことに怖気づいたか。

何もかも夢だった。サリューシアが自分のものになるなど、やはりあり得ない夢だったのだ。


リズとティムが部屋を出て行くと、ビリーは廊下にいた使用人に伝言を頼んで戻ってきた。

一人の男性を連れて。

その僅かな間、サリューシアとテオルドは見つめ合って微笑んでいた。



「おお!テオルド。お前がここまで快復しているという報告はなかったぞ?
 領地での静養が良かったんだな。
 お前は間違いなく私の息子だ。うちの跡継ぎはやはりテオルドだな。」


サリューシアはテオルドの快復をとても嬉しく思っていた。

だが、視界に入った伯爵夫人の顔色が悪いことに気づいた。
夫人が見ているのは、ビリーと一緒に入ってきた男性だった。
その男性もまた、顔色が悪い。

息子が元気になってここにいるのに、夫人はまだ一言もテオルドに声をかけていない。


「……母上、僕が言いたいこと、聞きたいことがわかりますね?」

「……ええ。ロンバード医師が一緒にここにいるということは彼から聞いたのでしょう。」


あの男性はロンバード医師というらしい。そういえば見かけたことがあるように思う。
テオルドの診察をしていた医師なのかもしれない。
先ほどリズを診察して妊娠だと判断したのもこの医師のようね。 


「僕は領地に静養に行く前から、自分の病状に疑問を感じていました。
 何度か母上に違う医師を頼みましたよね。呼んではくれませんでしたが。
 サリューシアとの婚約解消が決まる少し前、症状が悪化しました。
 それを理由にティムが跡継ぎになり、サリューシアとの婚約もティムになった。
 僕は2人の邪魔をしないために領地に行く。それが決まってから薬を飲むのを止めました。
 ロンバード医師が大量に持たせてくれた粉薬。
 領地で飲まずに調べましたよ。
 痙攣・目まい・発熱・吐き気、そして毒。いろいろありました。僕に死んでほしかったのですか?」


テオルドが言ったことにレイド家はもちろん、ブルーエ伯爵も驚いていた。
 




 


 
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