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何も答えないエドモンドにしびれを切らし、エヴァンはさっさと先を進めた。
「もういいか?じゃあ、こちらからの妥協案を伝えるぞ。
一つ目は、レイフォードは18歳で学園を卒業するまでバーナー伯爵家で暮らす。
二つ目は、レイフォードの婚約者は自分で選ばせるかバーナー伯爵家に任せる。
以上、二点を受け入れるのであれば、15歳になった時にレーゲン公爵家の籍になることを認める。」
「は、はあ?何だ、その案は。そんなの、認められない!」
「なら、レイフォードを諦めて親戚の中から誰か養子にするんだな。」
「っそれは……」
「返事は公爵と相談してからでいい。」
別に今すぐでなくても問題ないのだから。
エドモンドは不満たらたらで帰って行った。
「あ、面会権の話を忘れていたわ。」
しょっちゅう会わせる気はないけれど、会いたいのであれば拒む気はない。……月一度程度なら。
いずれ公爵家の籍になるのであれば、現公爵やエドモンドに慣れるという意味でちょこちょこと会うのも悪くはないと思っている。
「まぁ、それも妥協案を飲んだらってことでいいんじゃないか?」
「そうね。」
確かに、養子をとるのであればレイフォードに会う気もないかもしれない。
前回はレイフォードに会いたいと言ったのに、今回はレイフォードのことを聞きもせずに帰った。
関心があるのかないのか。
レイフォードのことは単に血の繋がった跡継ぎという目線でしか見ていないのだろう。
父と子。
あの両親の子であるエドモンドに、家族としての会話や温かさを教えられるとは到底思えない。
「なぁ、アイツ、変なこと言ってたよな。普段は俺の妻で週末はアイツの愛人?リゼルを共有するつもりだったってことか?しかも、この伯爵家に泊まってリゼルと過ごすって、どんな拷問だよ。」
夫がいる屋敷の中で妻が別の男と夜を過ごす。
夫が妻に対して恋愛感情がなかったとしても、許すだろうという考えを持つ方がおかしい。
「やっぱりアイツ、常識がないんじゃないの?」
公爵家だからと言って正しい教育がなされているとは限らないものだと心底思った。
「そう言えば、エドモンド様に薬を飲ませた犯人って見つかったのかしら?」
「何も言っていなかったから、まだなんじゃねえの?呑気に愛人の話をする前に捕まえろっての。
でもさぁ、公爵もまだ40代だろ?なのに養子を考えていたってことは、公爵も薬を飲まされたのかな。」
「そういえばそうね。離婚されたのだし再婚されても問題なかったのよね。誰のせいかわからないけれど、公爵家の血筋を閉ざさそうとするなんて、本当にシモーヌ様の指示なのだとしたら恐ろしいことよね。」
「……使用人たちがさ、貴族を根絶やしにしようと思えば意外と簡単なのかもな。男も女も不妊になる薬を知らない間に飲まされてしまえば、子孫は産まれず自分たちはいつか寿命がくる。」
「平民だけになっても貧富の差も、主従関係も決してなくなることはないのにね。
でも、シモーヌ様が思い描いていたのは逆でしょ?自分たちが国を支配しようと思っていたのだから。」
自分たちに従う貴族だけ生き残れる。そんな洗脳された国にも未来は明るくなかったに違いない。
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