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リゼルは、エドモンドが奥様と離婚するつもりだと言ったことに対し、どうにも納得し難い思いを感じた。
「養子を疎ましく思わないという条件だけど、先日の場合はただ単にレイフォードがエドモンド様に似ていて驚いた結果の言動よね?奥様は自分が騙されたと思ったのではないの?」
「騙された、というか、まぁ……」
言い難そうにしているエドモンドも、その後、奥様から話を聞いてそう思ったのだろう。
「どう見てもあなたの実子に見えるレイフォードを目の当たりにすれば、自分が堕胎した子供もひょっとしたらエドモンド様の子供だったのではないか、生殖能力がないというのは間違いだったのではないかと思って取り乱してしまうのも仕方のないことだと思うけど?」
レイフォードが実子だということを告げていなかったのであれば、自分がいつ生殖能力を失ったのかということも奥様に告げていないのだろうとリゼルは思った。
自分が不妊なのだと勘違いして浮気をしてしまった奥様が念のためにと避妊薬を飲むことを怠ったことは本人の不注意によるもので擁護する気はないけれど。
「エドモンド様は貴族には愛人がいるのが当たり前だと思っているところがある気がするけれど、それも古い感覚よね。ひょっとして、あのコベール・グランの教育?高位貴族の男は愛人がいて当たり前って。」
「……違うのか?妻一人を大事にする男は自分が甲斐性無しだと示すものだと思っていたが。」
「俺は甲斐性無しと思われていたのか……」
エヴァンが呆れたように口を挟んだ。確かにエヴァンに愛人がいたことはないだろう。
独身時代に娼館に行ったことはあるかもしれないが、女の体に溺れるような男ではない。
やはり、コベール・グランの教育は古すぎる。
「愛人に関しては夫婦の問題だから、夫婦が納得しているのであれば他人が口を挟むことではないわ。
でもね、愛人に子供を産ませるに関しては、事前に奥様に一言あってもいいんじゃないかしら。
……いえ、それも変かしら?人それぞれよね。
私個人の意見としては、家のために愛人に子供を産ませたいって一言、事前に言ってほしいわ。
だから、愛人に子供ができたと知った奥様が自分が不妊だったのだと思い込んだことも、妊娠できないことから解放されて自分も浮気しようと思ったことも、奥様だけのせいじゃないと思うの。」
「……だが、女が浮気するなど、本来は許されるべきじゃないだろう?托卵の可能性があるんだから。」
「あなたの相手は全員女性のくせに何バカなことを言ってるの?今まで人妻はいなかった?一晩でも。
それに、実際に愛人に托卵されそうになったくせに、女の浮気は許せないって身勝手すぎるわ。」
愛人を囲うのであれば、徹底的に避妊に気を付けるか、妊娠しても受け入れるべきなのだ。
その覚悟がなければいけない。
そして、妊娠しても確実に自分の子供であると認められる待遇でなければ、エドモンドの愛人のように別の男とも関係を持って、より条件のいい方の男の子供だと嘘をつくのだ。
「あなたに愛人がいたのだから奥様にいても文句は言えないのに、奥様は避妊薬を飲めば妊娠しにくくなるとわかっているから浮気しなかったんでしょ?公爵家の子供を産もうとしていた誠実さを失わせたのはあなたの行動のせいよね。」
リゼルも浮気を疑われてエドモンドに離婚された。今が幸せだから責める気はないが、奥様の場合は実家に戻っても体に問題があるため再婚はできないし、家に置いてくれるかもわからない。
だから、簡単に離婚を決めてしまうのは気の毒だと思う。
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