好きな人に振り向いてもらえないのはつらいこと。

しゃーりん

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貴族の子供は、10歳を過ぎると親子でのお茶会に出席したり、子供だけの集まりに出席したりするようになるのだが、これはもちろん招待状が届くこともあれば自由参加の場合もある。

レイフォードも10歳になった時、何度かお茶会に出席したのだが、リゼルの子供であるレイフォードが『レーゲン公爵家のエドモンドに似ている』『夫婦だったのだからエドモンドの子供に間違いない』『レーゲン公爵家が養子にするのはあの子だ』と次第にうわさが広まった。
 
しかし、今は伯爵家にいることから下位貴族からも『娘を婚約者に』とレイフォードは狙われることになり、数年の間、レイフォードは出席することをやめたのだ。

そして、その間にファーブス侯爵家のアミーナはコリタック侯爵家のルースに狙われて怪我を理由に婚約者になっていた。

詳しい事情を知らなかったレイフォードは、リゼルがアナレージュから聞いた婚約の経緯を説明すると眉をひそめた。


「怪我……傷?どこに?パッと見てもわからないような傷の責任で婚約を?男なのに?」 

「傷は、責任を取らせるための口実よ。それをわかっていてアミーナ嬢の両親は婚約を受け入れたの。」
 
「そんな……何故?彼女は納得しなかったんだろう?あんな辛そうな顔をしてるんだから。」

「侯爵令嬢と侯爵令息の婚約よ。ファーブス侯爵は身分的に見て申し分ないと判断したの。
責任の有り無しを追求するよりも、婚約を受け入れた方が醜聞にならないと思ったのでしょうね。」

 
リゼルの場合、肩から腕にかけての傷が残っているが服装で隠すことができる。
傷物だと嫌がる男もいるだろうが、前夫エドモンドは自分の代わりに負傷した責任を取って、現夫エヴァンは婚約者だった時から傷があっても結婚するつもりでいてくれた。

しかも、リゼルが勝手にエドモンドを庇ってできた傷。

これが顔だったら、レーゲン公爵は慰謝料で済ませただろうし、エヴァンはそれでも構わないと言ってくれただろうけどリゼルは自ら身を引いていたところだった。


アミーナの婚約者ルースの場合、顎の傷は既に見当たらず(二重あごに隠れているかもしれないが)、歯は1本無くなったがそのお陰で出っ歯が改善されて1本無いことなど誰もわからないのだ。
  
しかも、怪我は自分が投げたカエルをアミーナに投げ返されたことで驚いて足を滑らせたことによるもの。
これがアミーナの責任?
誰もが疑問に思うことなのだ。


だが問題は、アミーナの父であるファーブス侯爵が怪我の責任による婚約だと受け入れたことだ。

つまり、同じ侯爵家でも対等ではなくコリタック家が優位にある婚約であるということが、アミーナの婚約を簡単に解消できない大きな要因となっているのだ。

だからこそ、ルースの明らかな非を突きつけない限り、婚約を解消することは難しいとリゼルはレイフォードに説明した。

ただし、ファーブス侯爵はルースに代わる婚約者を見つけない限り婚約解消はしないだろうということはレイフォードには言わなかった。伝えれば、自分が新たな婚約者になると言うしかないのだから。 


それを決めるのは、今ではない。 


 
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