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アミーナの婚約者であるルースの明らかな非。
それを見つけない限り、2人の婚約解消は難しいことをリゼルはレイフォードに告げた。
「ルースはアミーナ嬢を虐げているように見えるけど、それは非にならない?」
「無理ね。婚約者として許容範囲だわ。側にいさせて命令しているくらいじゃ虐げているとは言えないし。」
「じゃあもし、暴力を振るわれたら?」
「暴力の理由にもよるでしょうけれど、人前でするほど愚かではないでしょうし、隠すことができない大怪我でもしない限り無理でしょうね。」
それこそ、顔に傷を負ったとか、妊娠できない体になったとか。
コリタック侯爵家に相応しい嫁と見做されなくなれば、アミーナは解放されるだろう。
「今、アナレージュ様が一つだけ狙っていることがあるの。ルースの浮気よ。彼は今、娼館通いに夢中になっているらしいの。それを許す親もどうかと思うけど。」
レイフォードの性教育はエヴァンに任せたので、リゼルは息子の経験の有無を知らない。
「浮気?でも、娼婦相手で浮気は無理なんじゃ……」
「そうね。ただ、ルースのような人には傾向があるらしいの。」
女の体を知り、性欲に囚われる男にはある傾向がある。
最初が娼婦であれば、娼館に通って様々な娼婦を相手に夢中になる。
だが、そのうち娼婦に飽きるのだ。
次に狙うのは、平民や下位貴族令嬢になる。
彼女たちの狙いが金か、愛人になることか。
まぁ、ルースのような外見の男を相手にするのであれば、金が狙いになるだろう。
そして、屋敷内でも侍女やメイドに手を付け始める。
ルースにとって一番要注意なのは、年上の侍女だ。
婚約者ができなかった貴族令嬢は、高位貴族の侍女となることで愛人又は妻の座を狙うことがある。
侯爵令息で独身のルースは狙い目なのだ。
妊娠すれば、自分の子供が侯爵家の跡継ぎになれる可能性もある。
危機感の薄いルースのような男は、やがて避妊が雑になり、確認を怠り、女任せになるからだ。
愛人がいるだけでは婚約解消しない場合もあるが、子供ができた場合は大いに揉める。
女性側が年齢的に新たな婚約者を望めない場合は、愛人の子供について様々な条件をつけてそのまま結婚することになる場合も多い。
しかし、15歳のアミーナにはまだ時間がある。
ルースが誰かを孕ませなくても、女癖の悪さを記録していくことで婚約解消には有利になるだろう。
「ルースの浮気の記録……ってもう実行中ってこと?」
「ええ。アミーナ嬢のことを心配しているのはあなただけじゃないってこと。
なんとしてでも、ルースと結婚することはアミーナ嬢にとって、そしてファーブス侯爵家にとってもいい縁ではないということをファーブス侯爵に認めさせなければならないわ。そのための記録なの。」
娘の婚約者が、周りの令嬢からも嫌われている男だと知りながらも婚約を認め、娘がどう扱われているかを知っていながらも何もしない両親なのだ。
娘は侯爵家に嫁ぎ、跡継ぎを産む。その道具なのだ。
なので、ルースは女で身を滅ぼすであろうことを示し、その後、より良い縁談を持ち込む。
それがアナレージュとリゼルの計画なのだ。
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