王妃様には表舞台から消えていただきます

しゃーりん

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『王妃様には表舞台から消えていただきます』


チェルシーがそう告げると、王妃ルネーゼリアは顔を真っ青にした。


「私を殺すのっ?毒殺?首切られる?それとも刺し殺す?それとも溺れさせる?それとも突き落とす?それとも……」

「王妃様、そういう意味ではありません。いわゆる、幽閉です。」

「ゆーへい?それって、閉じ込められることだっけ?え?監禁?」


疲れる。王妃様と話していると、まるで幼児と話している気分。


「監禁はあながち間違いではないですが、要するに離宮の一つで暮らしてもらい、基本的にはそこから出てくることは許されません。行事やお茶会、夜会に参加できないということです。」

「え……楽しくない。」

「罰なのですから仕方ありません。王族の責任の取り方としてはよくあることです。人を殺めた場合は服毒になることが多いですが、王妃様の罪はそこまで重いものではありませんので。」

「罪って、罪って、私が何をしたの?」


やっぱり理解していなかった。


「先ほども申し上げましたが、グランツ殿下を窘めずに愚者にしたことです。
王妃様、国王陛下からグランツ殿下の学業について必要あれば教師の手配などを指示するように頼まれたことはありませんか?
グランツ殿下が上位の成績を修めなければならないことは王族である以上当然のことです。」

「……お勉強が苦手な子はどうしたって苦手なのよ。」


自分が苦手だからってグランツ殿下も同じだと言いたいのね。


「特定の者と不適切な関係を持ってはいけない、特に令嬢とは。それをグランツ殿下に窘めるよう国王陛下から頼まれたことはありませんか?」

「……恋するくらい、いいじゃない。」


まぁ、王妃様が言うなとこっちは言いたいけどね。

グランツ殿下は母である王妃様の言葉には従うため、国王陛下は王妃様に頼んだというのに、王妃本人が窘めなければならない理由をわかっていないのだからグランツ殿下の態度が改まるわけがない。


「王妃様もご存知だと思いますが、本来、王族の妃は貴族同様ひとりだけです。ですが、妃が3年間妊娠しなければ側妃を娶ることが認められています。」

「へー……」


学んだはずだけど、やっぱり覚えてなかったのね。 


「おわかりですか?王妃様やコレット様が未婚にも関わらず妊娠したことはあってはならないことなのです。 
まして、王妃様は正妃となられました。であれば、ネフェリーナ様は側妃になる必要はなかった。
にも拘らず、国内外に公表してしまったためネフェリーナ様は側妃にならざるを得なかったのです。
王妃様の代わりに執務をする必要があるから。」

「ルドルフがそんなこと言ってた気がするわ。」


でしょうね。国王は頭がいいんだから。


だけど、結婚前の妊娠で一番気をつけなければならないのは、托卵なのだ。

国王陛下は王妃様と関係を持ってから万が一に備えて王妃様に見張りをつけていた可能性がある。
自分以外の男が近づけば、排除するように。

でも、グランツにそんな頭、ある?コレット様、野放しじゃない?



 
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