王妃様には表舞台から消えていただきます

しゃーりん

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親子判定の試作品。

それを見て顔色を悪くした側妃ネフェリーナに気づいたチェルシーを見て、意味深に笑った国王ルドルフ。

チェルシーはその笑みを、おそらく正しく理解した。

 
ローランドの父親は、国王ルドルフではないのだ。 

ローランドが秘された王子だった理由の一つに側妃ネフェリーナの不貞が密かにあったとは……

ローランドとルドルフは似ていないな、と思っていた。顔だけでなく体格も。
そう言えば、子供のころにネフェリーナ様の騎士と遊ぶローランドは親子みたいだと思ったことがある。
がっしりとした体格になった今はますます2人が似ていると気づいた。

それを知っていて、ルドルフはローランドを次期国王にするつもりでいる。

ルドルフは国王を辞めたい、王族を辞めたいだけではなかったのだ。
 

ルドルフは自由もままならない王族の身分を嫌っていた。
捨てられるものであれば、捨てたかったのだろう。
しかし、自分以外に継げる者がいなかった。

国を壊したい。でもそれはしてはいけない。

賢王になりたくないルドルフは、執務はまともにするが、女性関係で笑われる道を選んだ。

その結果が、元男爵令嬢の正妃ルネーゼリアと元侯爵令嬢の側妃ネフェリーナだった。

ルネーゼリアを王妃にしては、もっと国が笑われると危惧した前国王陛下は在位を伸ばした。
そのことすら、ルドルフは自分が国王になる期間を短くするための計画だったのだ。

側妃ネフェリーナの不貞を知っていたのか、あるいは不貞を仕向けたのかはわからない。
だがローランドがルドルフの子供ではないと知っていた。

ローランドの存在が、ルドルフに王家の血筋を変えるというイタズラを思いつかせたのだろうか。
ルドルフは自分の血筋を残さない遊びを計画したのかもしれない。

ローランドを隠すようにして育てさせ、表に出るためには異母兄グランツよりも優秀であることを示さなければならないと思わせる。 

逆にグランツは、王妃ルネーゼリアを見て育ったせいで、努力が苦手で自己中だ。

幼いころに身に着けたことは、大人になってもなかなか変えられない。

次期国王として受け入れられるのはローランドになり、グランツは母親の身分もあって貶される。
 
そう。ほぼ、今の状況のことだ。

ルドルフの思い通り、ここまで来た。

後は、数年後にローランドを若き国王に据えるだけだ。
 

建国以来続いてきた王家の血筋を絶たせることを計画していたとは思いもよらないことだった。
 
だが本当にずっと続いてきたのだろうか?

ルドルフみたいに、どこかで血筋を変えた王が、あるいは妃がいないとも限らない。

王族に生まれたルドルフの憂さ晴らし的な遊び。

ただそれだけで、王家は新たな血筋で繋がっていくことになる。


となると、コレットの腹の子は本当にグランツの子ではない?
ルドルフのことだ。とっくにグランツを断種して血筋を残さない処置をしているのではないか。

投げ文は、グランツの子として継承権を得ることのないようにするためということか。

 

チェルシーは微笑みながら目を開けた。
 
ルドルフの意味深な笑みは、イタズラがバレた笑みのようだった。


国王ルドルフとしては、気づいたチェルシーがこのことを告発しても構わないのだろう。

そうなれば、跡継ぎのためにルドルフは新たな令嬢に子を産ませなければならない。
正妃の座もその令嬢に。
遠縁に継がせる案もあるだろうが、重臣たちはルドルフの子を望むに違いない。

チェルシーの告発によって、ルドルフの自由は遠ざかる。

しかし彼は、チェルシーがそこまで高潔ではないことも知っている。

側妃ネフェリーナはチェルシーの母の友人で、愛するローランドの母なのだ。
不貞を公にしても、誰も救われない。

そしていつか、王家の血を継いでいないローランドを国王にしたという大罪を、ネフェリーナ様は懺悔しようとするかもしれない。それを口止めする役割もチェルシーに押しつけるのだ。共犯者として。


……わかりましたよ。黙っていればいいのですよね。自由になりたいのでしょう?



王妃様には表舞台から消えていただきました。

国王ルドルフもできるだけ早く表舞台から消えていただきましょうね。ご希望通りに。

……そして、できれば、ルネーゼリア様も連れて去ってくださいね。



 
<終わり>

  


 

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