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しおりを挟む数日後、父はブラック伯爵との話を終えた。
結果、婚約の話はなかったことになった。
父は、顔合わせ当日にクレージュが言われたことと、学園での出来事をブラック伯爵に伝えたらしい。
ブラック伯爵は平謝りだったとか。
実は、ロメオが勝手に声をかけた令嬢の家から前にもクレームがあったらしい。
見合いも、なぜか『合わない』と不機嫌で終わるので理由がわからなかったという。
その『合わない』が『自分の隣に似合わない』だとは思っていなかったらしい。
クレージュとの見合いは不機嫌ではなかったので、ようやく婚約できるかと喜んだという。
それなのに失礼なことを……と肩を落としていたそうだ。
事業の方は、もちろんロメオが関わることはないけれど、少し様子を見ることになった。
ロメオがリリスと婚約するか、あるいはまた別の令嬢でトラブルを起こすことがないかを確認してからにしたいと父が言ったのだ。
評判の落ちた貴族と手を組んでも、先行きが不安になるのだから当然である。
ブラック伯爵も、継ぐ爵位がなくてもロメオがリリスと結婚したいなら認めると言ったらしい。
今後、他家に迷惑をかけるようなら、貴族籍を抜くことも検討する。その覚悟を口にしたとか。
ブラック伯爵はまともなのに、問題を起こす次男のせいで跡を継ぐ長男にまで影響を及ぼす。
クレージュは、ロメオはリリスと何かやらかしそうだと不安に思っていた。
学園であれから友人となった公爵令嬢たちとユナと話をしていた時に『クズ男』ロメオ様が登場した。
「クレージュ嬢、父に何を言ったのかは知らないけれど、僕の計画が狂うから婚約解消はしないよ。
君はおとなしく僕と結婚すればいいだけだから。わかったね?」
「は?婚約解消って婚約してない……」
クレージュがまだ話をしている途中なのにロメオ様は去っていった。
「……何アレ?」
「クレージュ、アレは話が通じない生き物だわ。」
ユナがとうとう『クズ男』ではなく『アレ』呼ばわりし始めた。
「私、どうしたらいいのかしら。アレを放っておいていいと思う?」
「見たところリリスとも切れてないと思うんだけど。クレージュと結婚する気?」
「計画って……何?」
「クレージュ、あなたアレが面倒なことを仕出かす前に婚約者を決めた方がいいわ。」
公爵令嬢カッシーナがからかうような笑みを浮かべながらも真面目そうに言った。
「でも……相手の方を面倒事に巻き込むことになりそう。」
侯爵令嬢メイベルが、恐る恐る言った。
「あの、うちの兄はどう?うちはアレよりも爵位が上だから面倒事も問題ないわ。
次男で、父から子爵位をもらって結婚するはずだったの。
だけど、婚約者の令嬢が兄が好みじゃないから嫌だって他に好きな人ができて。
どこかの『クズ男』と同じ発言だから『クズ女』って言ってもいいんだけど。
つまり、少し前に婚約者がいなくなったの。
で、どうかな?なんて。」
メイベルは、ふと今思いついただけで、父にも兄にも話してないから兄も次の見合い話が来てるかもしれないけど、と慌てて付け加えた。
だけど、もし見合い話もなく兄がクレージュに会ってみたいと言えば会ってくれるかと聞かれ、クレージュも父に話してみると言った。
侯爵家から正式に見合いを打診されると伯爵家としては断れないが、縁組としてはお互いに決して悪い相手ではない。むしろ、良いと言えるから。
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