6 / 15
6.
しおりを挟む侯爵令嬢メイベルの次兄との見合い話はすぐに決まった。
堅苦しくなく気軽に話をしようということになり、両親は抜きでメイベルと次兄ワンダーがオリーブ伯爵家を訪れ、こちらも両親は初めに挨拶をしただけで、クレージュが応対する形になった。
ワンダーはクレージュたちと入れ違いに学園を卒業した3歳年上。
がっしりとしていて、キリっとした美形だった。
……前の婚約者の令嬢はどこが嫌だったのかな。この方と違う美形が好みならロメオ様みたいな?まぁ、結婚したくないほどその令嬢の好みの範囲外だったということね。私はいいと思うけど。
始めはメイベルを介しながらも、とても楽しく話ができた。
聞き上手で話し上手、私とメイベルが話していても穏やかに見守ってくれる人だった。
オリーブ伯爵家の特産や事業にも興味を持ってくれて、せっかくだから父とも話をしたいとのことだったので、クレージュとメイベルはその間に2人で話を続けた。
「どうかな?クレージュも兄みたいなのは好みじゃない?」
「え?そんなことはないわ。ロメオ様よりワンダー様の方がどちらかと言えば好みよ。」
「よかった。令嬢の化粧や髪型と違って、男性って外見を変えにくいじゃない?
私はお兄様のことカッコいいと思うけど、受け付けない令嬢がいるってショックだったわ。
お兄様はもっとショックだったと思うの。
クレージュとはお似合いだと思ったけど、こんなこと言ったら断りにくくなるかな。」
「私個人としては、ワンダー様とまた会ってみたいと思ったわ。
おそらく父も同じじゃないかしら。
だから、今後のことはワンダー様とお父上の侯爵様の意向次第?」
「嬉しい!うちは問題ないわ。」
それから母が顔を出し、メイベルと3人で楽しく話をしていると、父とワンダー様がやってきた。
「楽しかったよ。さすが、侯爵家で領地経営について学んでこられただけのことはある。
クレージュが跡継ぎなこともあっていろいろ教えてきたが、今は学業優先なんだ。
私もまだまだ現役で頑張るつもりではあるが、クレージュの夫となる者にも手伝ってもらいたい。
クレージュの負担を少しでも軽くしてやりたいからね。」
「それは当然です。
学生の間は、楽しく過ごす時間も大切だと思います。
卒業したばかりの今、友人たちとの時間が懐かしく思います。
令嬢は卒業すれば結婚はすぐですからね。
領地経営だの子供だのとクレージュ嬢の負担が増えますから、協力すべきことです。」
「そうなんだよ。わかってくれて嬉しいよ。」
何やら父とワンダー様はとても楽しい時間を過ごしたみたい。
学生じゃないから?3歳年上だから?ワンダー様はすごく大人に思えた。
ワンダー様とメイベルを見送った後、父が言った。
「彼は子爵領を継ぐ勉強をしていただけあって、飲み込みが早い。
クレージュが卒業する3年後まで待ってくれると言うなら、婚約を願いたいことだ。
クレージュはどう思ったんだ?」
「会話をしていても話しやすいし、楽しかったです。
メイベルにも、またワンダー様と会ってみたいと伝えました。」
「年が違うから比較したら可哀想だけど、ロメオ君と比べるとしっかりした令息だわ。
体格もがっしりとしているから余計に頼れる感じに思えてしまうのね。
クレージュとお似合いだと思うわよ。」
やはり、うちの両親もワンダー様に好意的だった。
236
あなたにおすすめの小説
一年だけの夫婦でも私は幸せでした。
クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。
フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。
フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。
更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。
お飾りな妻は何を思う
湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。
彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。
次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。
そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。
私はあなたの前から消えますので、お似合いのお二人で幸せにどうぞ。
ゆのま𖠚˖°
恋愛
私には10歳の頃から婚約者がいる。お互いの両親が仲が良く、婚約させられた。
いつも一緒に遊んでいたからこそわかる。私はカルロには相応しくない相手だ。いつも勉強ばかりしている彼は色んなことを知っていて、知ろうとする努力が凄まじい。そんな彼とよく一緒に図書館で楽しそうに会話をしている女の人がいる。その人といる時の笑顔は私に向けられたことはない。
そんな時、カルロと仲良くしている女の人の婚約者とばったり会ってしまった…
【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい
高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。
だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。
クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。
ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。
【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】
どなたか私の旦那様、貰って下さいませんか?
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
私の旦那様は毎夜、私の部屋の前で見知らぬ女性と情事に勤しんでいる、だらしなく恥ずかしい人です。わざとしているのは分かってます。私への嫌がらせです……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
政略結婚で、離縁出来ないけど離縁したい。
無類の女好きの従兄の侯爵令息フェルナンドと伯爵令嬢のロゼッタは、結婚をした。毎晩の様に違う女性を屋敷に連れ込む彼。政略結婚故、愛妾を作るなとは思わないが、せめて本邸に連れ込むのはやめて欲しい……気分が悪い。
彼は所謂美青年で、若くして騎士団副長であり兎に角モテる。結婚してもそれは変わらず……。
ロゼッタが夜会に出れば見知らぬ女から「今直ぐフェルナンド様と別れて‼︎」とワインをかけられ、ただ立っているだけなのに女性達からは終始凄い形相で睨まれる。
居た堪れなくなり、広間の外へ逃げれば元凶の彼が見知らぬ女とお楽しみ中……。
こんな旦那様、いりません!
誰か、私の旦那様を貰って下さい……。
冷徹公に嫁いだ可哀想なお姫様
さくたろう
恋愛
役立たずだと家族から虐げられている半身不随の姫アンジェリカ。味方になってくれるのは従兄弟のノースだけだった。
ある日、姉のジュリエッタの代わりに大陸の覇者、冷徹公の異名を持つ王マイロ・カースに嫁ぐことになる。
恐ろしくて震えるアンジェリカだが、マイロは想像よりもはるかに優しい人だった。アンジェリカはマイロに心を開いていき、マイロもまた、心が美しいアンジェリカに癒されていく。
※小説家になろう様にも掲載しています
いつか設定を少し変えて、長編にしたいなぁと思っているお話ですが、ひとまず短編のまま投稿しました。
私は恋をしている。
はるきりょう
恋愛
私は、旦那様に恋をしている。
あれから5年が経過して、彼が20歳を超したとき、私たちは結婚した。公爵家の令嬢である私は、15歳の時に婚約者を決めるにあたり父にお願いしたのだ。彼と婚約し、いずれは結婚したいと。私に甘い父はその話を彼の家に持って行ってくれた。そして彼は了承した。
私の家が公爵家で、彼の家が男爵家だからだ。
好きじゃない人と結婚した「愛がなくても幸せになれると知った」プロポーズは「君は家にいるだけで何もしなくてもいい」
佐藤 美奈
恋愛
好きじゃない人と結婚した。子爵令嬢アイラは公爵家の令息ロバートと結婚した。そんなに好きじゃないけど両親に言われて会って見合いして結婚した。
「結婚してほしい。君は家にいるだけで何もしなくてもいいから」と言われてアイラは結婚を決めた。義母と義父も優しく満たされていた。アイラの生活の日常。
公爵家に嫁いだアイラに、親友の男爵令嬢クレアは羨ましがった。
そんな平穏な日常が、一変するような出来事が起こった。ロバートの幼馴染のレイラという伯爵令嬢が、家族を連れて公爵家に怒鳴り込んできたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる