優しく微笑んでくれる婚約者を手放した後悔

しゃーりん

文字の大きさ
5 / 8

5.

 
私、オリビアは10歳の時に隣の領地のエルネスト様と婚約した。
のんびりとした田舎で育った私は性格ものんびりとしている。
なので、次から次へとコロコロ会話が変わるエルネスト様の話に口を挟むことができずに相槌をうって聞いていることが多かった。
私は、エルネスト様はもう一人のお兄様のように思っていた。 

 
3年後、エルネスト様が学園に入るため王都に行った。
手紙をやり取りしていたが、返信が少なくなった。
そのことを両親に言うと、『あいつは毒される方だったか』と言っていた。
様子を見ることになった。
領地にも帰らないし手紙も来ないわね。
父が王都で学園の噂を探ってきた。『あいつには懇意にしている令嬢がいるそうだ』
そうなのかなぁとは思っていた。
父に婚約を解消するか?と言われたが、エルネスト様がどういうつもりでいるかを聞きたかった。
『入学した私にどう接するかを確かめたい』と父に言った。

入学後、私に会いに来ることもなく常に令嬢と一緒のところを何度も見かけた。
なるほど。隠す気もないってことね。私との婚約を解消するのか聞こうと声をかけた。
ほー。婚約者にその態度?解消決定ね。

そんな私に声をかけてきたキース様。
んー。波長が合いそうな人。そう思った。

キース様から、エルネスト様が入学してからの話を両親と聞いた。
あー。やっぱりね。毒されるってほどの悪事でもないけど、そういうことね。
詳細がわかってありがたいけど、この人、友人やめたのかな?

イザベル様の境遇を聞いて、エルネスト様が逃げるのはもう遅いとわかった。
キース様の助言に感謝して、円満に婚約解消しようと思った。
破棄だとイザベル様が何を言い出すか怖い。そう両親と思ったのだ。

こっちは婚約解消を了承しているのに、向こうの両親が納得していない。
浮気しているのはあなた方の息子なんですよ?
手紙ではやり取りに時間がかかるから、早く王都に来てくださいね?

ようやく来たと思ったら、浮気相手より私がいい?あなたたちに言われてもね。
通常は婚約破棄でもおかしくないところを婚約解消で済ます条件として、エルネストが私に近づかないことをあげた。これを破ると慰謝料を貰う。
エルネスト様の両親は、今、慰謝料を払わなくて済むならと思ったようでサインした。

婚約解消の署名のために、最後に両家族で会った。
あの令嬢に惹かれたところを聞いてみると、それだけ?と思った。
ほー。私が暗くて無口だと言いたげな口調ね。それほどではないと思うけどなぁ?

ま、無事に縁が切れてよかった。
キース様にも報告した。お世話になったしね。
直後、なぜか口説かれ始めたようだ。婚約者いなかったの?
自分の将来を悩んでいて婚約者を決めずにここまできてしまったらしい。
王都で働くか田舎暮らしか。それによって選ぶ妻も変わってくる。
じゃあ、決めてないのに何で私?
『君がそばにいてくれるなら望む方の暮らしをするし、僕が選んでも君ならついてきてくれそう』
波長が合いそうというか、空気感が好ましいと言われた。
うー。言われたことに納得できる。私も同じように感じるから。

ひとまず、結婚を前提に付き合うことになった。
キース様は卒業後、王宮で働くことになっていたようだ。
私が卒業する2年後まではそこで働くけど、結婚する時にどうするかはお互いの両親も一緒に考えることにした。



 


  

 

あなたにおすすめの小説

元婚約者が愛おしい

碧井 汐桜香
恋愛
いつも笑顔で支えてくれた婚約者アマリルがいるのに、相談もなく海外留学を決めたフラン王子。 留学先の隣国で、平民リーシャに惹かれていく。 フラン王子の親友であり、大国の王子であるステファン王子が止めるも、アマリルを捨て、リーシャと婚約する。 リーシャの本性や様々な者の策略を知ったフラン王子。アマリルのことを思い出して後悔するが、もう遅かったのだった。 フラン王子目線の物語です。

貴方は何も知らない

富士山のぼり
恋愛
「アイラ、君との婚約は破棄させて欲しい」 「破棄、ですか?」 「ああ。君も薄々気が付いていただろう。私に君以外の愛する女性が居るという事に」 「はい」 「そんな気持ちのまま君と偽りの関係を続けていく事に耐えられないんだ」 「偽り……?」

なぜ、虐げてはいけないのですか?

碧井 汐桜香
恋愛
男爵令嬢を虐げた罪で、婚約者である第一王子に投獄された公爵令嬢。 処刑前日の彼女の獄中記。 そして、それぞれ関係者目線のお話

愛する人の手を取るために

碧水 遥
恋愛
「何が茶会だ、ドレスだ、アクセサリーだ!!そんなちゃらちゃら遊んでいる女など、私に相応しくない!!」  わたくしは……あなたをお支えしてきたつもりでした。でも……必要なかったのですね……。

貴方もヒロインのところに行くのね? [完]

風龍佳乃
恋愛
元気で活発だったマデリーンは アカデミーに入学すると生活が一変し てしまった 友人となったサブリナはマデリーンと 仲良くなった男性を次々と奪っていき そしてマデリーンに愛を告白した バーレンまでもがサブリナと一緒に居た マデリーンは過去に決別して 隣国へと旅立ち新しい生活を送る。 そして帰国したマデリーンは 目を引く美しい蝶になっていた

侯爵家の婚約者に手を出す意味、わかってます?

碧井 汐桜香
恋愛
侯爵令嬢ジョセリアは地味な外見をしている少女だ。いつも婚約者のアランとその取り巻きの少女たちに罵倒されている。 しかし、今日はアランの取り巻きは一人しかおらず、いつも無視を決め込んでいたジョセリアが口を開いた。

【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから

えとう蜜夏
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。 ※他サイトに自立も掲載しております 21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ  Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

うまくやった、つもりだった

ひがん さく
恋愛
四大貴族、バルディストン公爵家の分家に生まれたオスカーは、ここまでうまくやってきた。 本家の一人娘シルヴィアが王太子の婚約者に選ばれ、オスカーは本家の後継ぎとして養子になった。 シルヴィアを姉と慕い、養父に気に入られ、王太子の側近になり、王太子が子爵令嬢と愛を深めるのを人目につかぬよう手助けをし、シルヴィアとの婚約破棄の準備も整えた。 誠実と王家への忠義を重んじるこの国では、シルヴィアの冷徹さは瑕疵であり、不誠実だと示せば十分だった。 かつてシルヴィアはオスカーが養子になることに反対した。 その姉が後妻か商家の平民に落ちる時が来た。 王太子の権威や素晴らしさを示すという一族の教えすら忘れた姉をオスカーは断罪する。 だが、シルヴィアは絶望もせずに呟いた。 「これだから、分家の者を家に入れるのは嫌だったのよ……」