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ゼクランはジェシカという侍女から、結婚していた間にアンリエッタがされていたことを聞いたと言った。
義父だったマーラー侯爵は、アンリエッタが離婚したいと言った理由にそのことを話さなかったということになる。
「ゼクラン様は、侯爵様から何を言われて私との離婚に同意されたのですか?」
「……あの朝の、私の失言だ。子作りに関係ない行為は無駄だと口にしてしまったことを悔やんだ。君が私との子がもう欲しいとは思わないと言っていたと父から聞かされて、そんなつもりではなかったと思った。だが、確かに口にしてしまった。
あの日は国の行事前でとにかく忙しくて、もちろん言い訳にもならないし失言でしかないが、君と話し合いたいと思っていたところに、その侍女から母と義姉のしていたことを聞いたんだ。
君をここに戻しても、母たちが改心したとしても、過去のことはなかったことにはできないし、わだかまりは残る。君の居心地は決して良くはならない。だから、離婚に同意したんだ。」
義兄のルシエルが避妊薬を飲んでいた話は、ゼクランは今も知らないのかもしれない。
知れば、ゼクランはルシエルを責めたに違いない。
アンリエッタがゼクランと結婚する前に義姉に子供がいれば、あんなことにはならなかったと。
しかし、何らかの言いがかりをつけられて同じような状況になっていたと思う。
「父からは再婚しろと言われた。君を傷つけたあの女との縁談だったようだが、断った。戻って来て侯爵家の仕事をしろとも言われた。だが、戻る気はないと断った。
そのうち、兄に子供ができて、父もうるさく言って来なくなった。兄に子供が二人できてからは、戻って来なくていいと言われるようになった。
だから、マーラー侯爵家には戻らない。」
ルシエルが避妊薬を飲まなくなってすぐ、義姉は妊娠したのね。
だから、ゼクランへの干渉が弱くなった。
侯爵家の執務も、ルシエルがそれなりにできるようになった。
ゼクランが戻り、再婚して子供ができたら、自分の子と比較されると義姉なら考えそうだと思った。
義姉はその心のうちを義母に伝え、それを聞いた侯爵もゼクランを諦めたといったところかしら。
「私は仕事が好きだ。限られた時間に夢中になる余り、君を蔑ろにしてしまった。夫婦の営みを無駄なもの言ったことも、本意ではなかった。本当にすまなかった。」
あの時期が忙しいということは、王城で働いているアンリエッタも今ではわかっている。
そんな中でも、月に一度の連絡を受けて帰って来ていたのは、アンリエッタと別れるつもりはなかったからだということも。
偽りの連絡だったけれど。
「謝罪は受け入れます。が、9年も経っているのに、なぜ今ですか?」
遅すぎるわよね。
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