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しおりを挟む翌日になり、ブランシェに話が聞きたいと騎士がやってきた。
ブランシェが陣痛の時に、アンゼムがブランシェから聞いた話はすでにしているらしいが念のために。
「体調はいかがでしょうか。」
「安産でしたので問題ありません。」
「そうですか。我々もこんなに早くとは思っていませんでしたので驚きました。
早速で申し訳ありませんが、お聞きします。夫人には行方不明になっていた八か月間の記憶はないということで間違いありませんか?」
「はい。あの部屋で目覚める前の記憶は夜会の休憩室が最後です。」
「なるほど。再度カールストン公爵家の使用人に聴取する必要がありそうですね。あの部屋、というか家の持ち主の男の記憶もない、と。ずっと眠らされていた可能性が高いですね。」
やっぱりそうよね。
ブランシェは聞きたいことがあった。
「質問してもいいですか?」
「答えられることであれば。」
「私の居場所はどうやって判明したのですか?」
そう聞くと、騎士たちは『あっ!』という顔になった。
「失礼しました。そこを話していませんでしたね。
実は、あなたを監禁していた男、カル・イーストという名前ですが、その男が事故にあったのです。言い残した言葉が、自分の名前と住まい、そして地下の部屋にいる病気の妻が困っているはずだ、ということで我々は駆けつけました。」
「そこにいたのが私だったのですね。つまり、たまたま見つかった?」
「そういうことです。行方不明のあなたがあの男の妻であるはずもなく、あなたを攫った動機についてはあの家を捜索中です。」
ブランシェがあそこに監禁されていると知って、やって来たわけではなかったらしい。
「ほかに質問はございますか?」
「その男は黒髪黒目だと聞きました。ですが、産んだ子は金髪に碧い目です。あの子がその男の子供なのかどうか、鑑定することは可能でしょうか。」
騎士たちは目を丸くして驚いていた。
ブランシェもアンゼムも驚いたのだから、そうなるだろう。
親子の鑑定は、血があれば魔術鑑定をしてもらえる。
ただし、私的に依頼するとバカ高い。エメック家が払うのも違う気がする。
捜査の一環として、頼めないか聞いてみた。
「カル・イーストは父親ではなく、あなたを監禁して監視する役割を担っていたのかもしれません。
わかりました。鑑定の手配をします。他に気づいたことはありますか?」
ブランシェは笑われるかもしれないが、一応言うことにした。
「あの子、どう考えても二か月は早く産まれているはずなのに大きいのです。私に投与されていた栄養剤か、他に何か胎児の成長を促すようなものが投与されていたとか、分かれば教えてください。
もしも私やあの子の今後に影響を及ぼすものが投与されていたとしたら、知っておきたいのです。」
「なるほど。わかりました。
確かに、あの男は今は平民なのに地下室付きの家だったり睡眠剤やその他にも薬を保管している魔術式の保菅庫を持っていました。中には自分で作ったような薬も入っていて中身は検査中です。
夫人の血に異常がないかも調べましょう。産まれた子についても。」
「お願いします。」
魔術式の保菅庫とは、中に入れた物の状態を変わらず保管できるもので、値が張るらしい。
一平民の家にあるものとは思えず、やはり他の誰かが関わっている気がした。
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