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しおりを挟むリオネルは少し首を傾げて聞いてきた。
「アルバートの供述が本当だとしたら、ハリエット嬢の姉はどうして嘘をついたのかわかるか?」
ハリエットとリオネルが浮気をしている。
姉であるアイリスがアルバートにそんな嘘を吹き込んだその理由。
「ええ、おそらくだけど。わかったかもしれないわ。」
ハリエットは父のことを鈍感だと思っていたが、その父のことを笑えない。
これは姉の気持ちに気づかなかった、ハリエットの鈍感さも関係していることだと思った。
ハリエットは、今から六年前にテイラー伯爵家であったことから話すことにした。
「六年前、父が再婚したことがきっかけなの。」
「あぁ、君たちの母上が亡くなって何年か経っていたんだったか?」
「ええ。姉と私がいることで父は再婚を断っていたのよ。父は忙しかったし。だけど、子供ができずに離婚することになった女性を受け入れてくれないかって頼まれたの。国王陛下から。」
そう。また国王陛下。
ちょくちょくといろんな貴族の婚約や縁談を後押ししている。
アルバートとの婚約も、父が断る理由に頭を悩ませていたのだが、この時に後押しされてしまい、ハリエットの婚約は決まってしまった。
「継母になったセレナ様は当時25歳でね。父とは10歳差だったの。父も事業が落ち着いたところだったから再婚を受け入れたの。私たちも賛成したわ。
驚いたのは、セレナ様に父の子供ができたこと。子供ができないから離婚したと聞いていたのに。」
セレナが妊娠した時、姉のアイリスは16歳、ハリエットは15歳だった。
テイラー伯爵家は姉のアイリスが継ぐことを前提に、何年も前から後継者教育も始めていた。
しかし、アイリスはよく口にしていた。『私も嫁ぎたかったわ』と。
そのため、セレナのお腹の子がもし男の子であれば、アイリスは嫁げることになる。
そう思った、父もハリエットもセレナの妊娠を喜んだ。
アイリスも喜んでいるものだと思っていた。
ハリエットは一瞬、アイリスの顔が引きつり、握りしめた拳が震えていたところを目にした気がしたが、その後すぐに笑顔で祝福の言葉を口にしていたため、深く考えなかった。
そして産まれたのは男の子。弟のユリウスである。
こうしてアイリスはテイラー伯爵家の後継者から自動的におりることになった。
この国は男子継承優先と定められているから。
姉妹の下に男が生まれても、後継者と定めていた者、つまり姉が結婚していたら後継者は姉のままだったが、姉は独身で、しかもまだ婚約者が決まっていなかった。
父もハリエットも、父から話を聞いていたセレナも、アイリスがテイラー伯爵になるという重荷から解放されてホッとしているものだと思っていた。
ユリウスの誕生は、誰にとっても喜ばしいものになったのだと信じて疑わなかったのだ。
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