結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。

しゃーりん

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二人目が部屋に入ってきた。


「やあ。元気そうで安心したよ。」

「チャールズ様、あなたもね。」


チャールズもコーネリアの護衛役だった令息の一人だった。
彼は侯爵家の次男である。

どうやら見合いの人選は、ハリエットの知り合いばかりなのかもしれない。


「チャールズ様は今は何をされているの?」

「僕は文官だよ。外交に関わる部署にいるんだ。」

「そうなのね。このお見合いはあなたの意志なの?」

「んー……正直言うと、君の夫になる将来もナシではないとは思っているよ。」

「けど、縛られるのは嫌、なのよね?」

「ああ。」


彼は自分は結婚に向かない男だと言ったことがあった。
女性に誘われたらできるだけ断りたくない。 
そう言って、年上未亡人との逢瀬や離婚した年上令嬢と遊んでいた。

今なら外交で訪れた他国の女性とも遊んでいそうだと思った。

彼はとても美形である。
学園の未婚女性に手を出さないようにするため、コーネリアの護衛役を引き受けたと聞いていた。 

コーネリアを女性から逃げる防波堤のような扱いをした男である。

確かに未婚の女性に誘われて手を出せば責任を取らされただろうから、コーネリアの護衛役になれば声をかけられても断る理由になるし、そもそも近くに寄って来られない。


「君がもし僕を選ぶなら、子供ができるまでは浮気はしないよ。でもそれ以降は期待しないことを前提としてほしい。そうなった場合、離婚を選んだ方がいいかもしれないな。」 

「正直に言ってくれてありがとう。それも一つの考え方よね。」
 

縛られたくない男を縛れるような魅力が自分にあるとは思っていない。
子供を授ければ、責任は果たしたとする考えにも一理ある。
 
仕事は代わりにできる者がいくらでもいる。
しかし、血筋の確かな子供を次代へと繋いでいくことが貴族として大切なことの一つでもある。

 
「君はいい女だよ。結婚したら夫を愛してもっといい女になるだろう。でもその愛を受け取るに僕は相応しくないから、協力するくらいしかできないかな。
自分なら僕の気持ちを変えられるなんて思わないでほしい。まぁ、君はそんな質ではないだろうけど。」


いかにも言い慣れた台詞のようで苦笑してしまった。
似たような言葉を言った経験があるに違いない。

たとえチャールズを愛しても、彼は愛を返してくれない。
それでもいいなら、子供を授けることだけ協力してくれる。
そういうことだ。

 
「もし再婚が面倒なら結婚したままでも構わないし、再婚したい相手ができてから離婚してもいいし。とにかく僕はよそに子供は作らないようにする努力しかできないから、後は君の好きにすればいい。
僕が言いたいことはこのくらいかな。」

「よくわかったわ。ありがとう。よく考えてみてから返事をするわね。」

「ああ。またな。」 

 
チャールズの考え方に腹は立たない。
むしろ、恋愛経験のないハリエットはそれもアリだと思えた。
 
自分が誰かと愛し合う姿が想像できなかったから。

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