自国から去りたかったので、怪しい求婚だけど受けました。

しゃーりん

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6.

 
 
別室に移動した私たちは、すぐに話を始めた。 


「ベーグル侯爵、私は明後日の朝早く、国に帰ります。
 その前に手続きを済ませたい。
 アミディア嬢との結婚をお許しいただきたく、お願いいたします。」

「ちょっと、ちょっと待ってくれ。
 アミィ?お前が庭園に散歩に行ってパーティーに来るまで、ほんの2時間も経ってない。
 その間に何がどうなってオルビス殿との結婚話にまでなったんだい?」


ようやく婚約解消できた数時間後に新たな婚約の話で父が戸惑うのも無理はない。


「お父様、私、今度こそ隣国で暮らそうと思ったの。
 この国で暮らしていくのはつらいのよ。」

「だが……探せば結婚できる相手はこの国にもいるはずだ。」
 
「あのおとぎ話がこの国から消えるか、同じ髪色の人が何十人もこの国で暮らすか。
 それともずっと髪を染める?子供が産まれて同じ色だったら?
 そんなことばかり考えて生きるより、隣国で暮らした方がスッキリするわ。
 もう隠れるように部屋で過ごすことも、隠すように帽子をかぶることも、疲れたわ。」


父が話すより先に、母が言った。


「ごめんね、アミィ。あなたがここまでプラチナの髪色を受け継ぐなんて思ってなかったの。
 父や兄たちに似てしまったのね。ごめんね。
 あなたが隣国で暮らしたいのであれば、兄にお願いするわ。
 だけど、なぜオルビス君と結婚なの?一目惚れでもした?初めて会ったわけじゃないけど。」


母はプラチナの髪色ではない。金が入ったシャンパンゴールドの色だ。


「もし、隣国の伯父様のところで暮らし始めても、私に縁談の申し込みをするって、オルビス様が。
 今も後も結局申し込まれることになるのなら、済ませてしまってもいいかと思って。」

「オルビス殿はアミディアが気に入ったということですかな?
 まだご結婚されていないというのは理由があったのでは?」

「2年半ほど前に王女との婚約が解消になりました。
 まぁ、元々お互いに結婚相手には向かないと感じてはいました。
 なので陛下が反対しない程度の爵位の男を学園で探せと言っておいたんです。
 見事、捕まえて嫁いで行きましたね。
 すぐに新たな婚約者、と言っても年齢的に合う高位貴族の令嬢には婚約者がいました。
 のんびりと探すつもりでした。
 結婚しなくてもいいとも思っていました。
 弟が結婚すれば、その子供を跡継ぎにしてもいいとも思いました。
 ですが、今回気晴らしにこの国に来ることになり、思い出したのです。
 私の初恋だった、プラチナの髪色をしたランスロットの従妹のことを。
 どんなに素敵な令嬢になっただろうか、一目見れたらいいなと思いながらここに来ました。
 そして会えた。想像以上に美しい令嬢になっていた。
 しかも婚約も解消して、まるで私のためかと思ったほどです。
 捕まえるのは当然でしょう?」


初恋?これ、作り話?
ダメだわ。まだ彼の性格を把握できていないからわからない。
伯父の名前を確認する前と後のどちらで会ったことがあると気づいたのかしら。


「まあ!素敵ね。そう言えば、オルビス君はアミィに花冠を作ってくれたりしていたわね。」


花冠……誰かから頭に乗せて貰った覚えはある。それがオルビス様だった?
 

「本当は一緒に連れて帰りたいくらいです。ですが、さすがにそれは急ですので。
 なるべく早く国に来て一緒に過ごしていきたいです。
 結婚は1年以内に。
 ですので、許可を得た書類を持って帰り国で婚約の手続きを完了させたいのです。」

「……アミディア、本当にいいのか?
 ただこの国から出たいだけなら、いくらでも援助はするぞ?」

「伯父様のところでずっと暮らすわけにはいきませんし、一人で暮らせる自信もありません。
 犯罪に巻き込まれることなく暮らすには、やはり結婚になります。この髪ですしね。
 であれば、ランス従兄様の友人であるオルビス様は問題ないかと思います。」


隣国では女神の髪色と言われているこの髪は、結局人目にはつく。


「……そうだな。そうだよなぁ。寂しいよ。だけどアミィの幸せのためだな。わかった。
 オルビス殿、アミディアをよろしくお願いします。」

「ありがとうございます。」
 

結婚話の裏がまだよくわからないけれど、ひとまず婚約することになった。

この国を出られると思うと、息がしやすく感じた。


 

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