15 / 43
15.
しおりを挟むショコルテ公爵は、フィリーナの義理の伯父だと言った。ということは…
「やはり、奥様はフィリーナの母親のお姉様でいらっしゃったのですね。
ただ、フィリーナの母は実家から絶縁されたと耳にした記憶があるのですが…」
「フィリーナの母親は夫となった前伯爵と愛し合っていて結婚したいと言った。
だが、伯爵の両親が好ましい人物ではなくフィリーナの祖父の侯爵に反対された。
しかし、持参金なしでなら好きにすればいいと嫁ぐことになった。
結婚後、伯爵の両親が侯爵に金の無心をした。そのことにより絶縁となった。
妻は妹と会えなくなった。絶縁されたことでフィリーナの母が付き合いを断ったからだ。
でもたまに手紙のやり取りだけはしていた。
だから、フィルリナの名前は知っていた。」
「フィリーナの本名はフィルリナというんだな。そう呼んだ方がいいか?」
「あ、はい。念のため偽名で過ごしてきました。
今はまだフィリーナがいいです。叔父と縁が切れるか2年後までは…」
前伯爵の両親だけでなく弟までが好ましい人物ではなかったわけだ。
母親の実家と縁遠くなっただけでなく父親の弟とまで縁を切りたいとは…
伯爵の両親はもう亡くなっているらしいから、問題はこの現伯爵だけだな。
「そういえば、伯爵は髪色だけでフィルリナと呼んで決めつけていたわね。
珍しいとは思うけど…まさかそういう珍しい物好きな人に伯爵は売るつもりかしら?」
「お義母様、セラフィーネ様もアリシアもリシェルもリディアも同じ色です。まさかそれは…」
「いや、まさかとは思うが一応注意するのに越したことはない。
アリシアは幼女ではなくなったが、まだ子供だ。買いたい男を伯爵は知っているだろう。
やはり2年後までは用心が必要だな。」
「アリシアちゃんは公爵邸に?」
「閉じ込めてしまって可哀想だが…我儘も言わず良い子だよ。
フランツの嫁のヴィオラと仲が良い。ここに連れてきてやりたいが、今は無理だな。」
「ショコルテ公爵、実は警備の者から、昨夜から不審な人影を報告されています。
アリシアを探すなら、そちらにもいくかもしれません。
使用人などにも確認するかもしれませんね。
別人に代わったかどうか、アリシアがいるかどうか。」
「アリシアはリーシャと名乗って、遠縁の娘として預かっていることにしている。
公爵邸の使用人は口が固い。大丈夫だとは思うが、徹底した方がいいな。」
伯爵を不敬罪に陥れるための舞台はいつがいいか話し合うことになった。
「半年後に国王陛下の在位10年の祝賀会がありますよね。
それにはセラフィーネが出席することになる。
式典では伯爵もさすがに大人しくするでしょう。
ですので夜のパーティーで伯爵が醜態をさらすように仕向けたいですね。」
「伯爵はフィリーナの顔をしっかり覚えていないのだろう。
それに11歳と今では大分変わるだろうし。
私とセラフィーネがきっぱり否定して終わりだよ。不敬罪で牢か病院行きだ。」
「では半年間、気を抜かず部屋に閉じこもって外出もしない。フィー、いいね?」
「あら、そんなの子供たちが可哀想よ。お庭には出たいわよね。
カツラと帽子をかぶりましょう!
フィーちゃんも子供たちも髪色を隠せばどこかで覗かれても気づかれないわ。
セラさんとフィーちゃんが一緒のところを見られなければ問題ないわ。」
「確かにそうだけど…髪色で判断されそうだからカツラか…アリシアにもいいんじゃないですか?
正直、話を聞く限りではアリシアの方が心配な気がします。」
「そうだな。解決するまであの子には常時カツラをかぶってもらおう。」
なんとか方針が決まった。
だが、髪色が珍しいから買いたい者がいるのか、若い娘だから買いたい者がいるのか。
伯爵が売るつもりだった相手がどっちなのかが気になった。
200
あなたにおすすめの小説
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください
無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――
婚約破棄される令嬢は最後に情けを求め
かべうち右近
恋愛
「婚約を解消しよう」
いつも通りのお茶会で、婚約者のディルク・マイスナーに婚約破棄を申し出られたユーディット。
彼に嫌われていることがわかっていたから、仕方ないと受け入れながらも、ユーディットは最後のお願いをディルクにする。
「私を、抱いてください」
だめでもともとのその申し出を、何とディルクは受け入れてくれて……。
婚約破棄から始まるハピエンの短編です。
この小説はムーンライトノベルズ、アルファポリス同時投稿です。
お買い上げありがとうございます旦那様
キマイラ
恋愛
借金のかたに嫁いだ私。だというのに旦那様は「すまないアデライン、君を愛することはない。いや、正確には恐らく私は君を愛することができない。許してくれ」などと言ってきた。
乙女ゲームのヒロインの姉に転生した女の結婚のお話。
「王太子殿下に魅了をかけてしまいました。大至急助けてください」にチラッと出てきたアデラインが主人公です。単体で読めます。
勘違い妻は騎士隊長に愛される。
更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。
ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ――
あれ?何か怒ってる?
私が一体何をした…っ!?なお話。
有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。
※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。
満月の秘め事
富樫 聖夜
恋愛
子爵家令嬢エリアーナは半年前から満月の夜になると身体が熱くなるという謎の症状に悩まされていた。
そんな折、従兄弟のジオルドと満月の夜に舞踏会に出かけなければならないことになってしまい――?
アンソロジー本「秘密1」の別冊用に書いた短編です。BOOTH内でも同内容のものを置いております。
冷遇された妻は愛を求める
チカフジ ユキ
恋愛
結婚三年、子供ができないという理由で夫ヘンリーがずっと身体の関係を持っていた女性マリアを連れてきた。
そして、今後は彼女をこの邸宅の女主として仕えよと使用人に命じる。
正妻のアリーシアは離れに追い出され、冷遇される日々。
離婚したくても、金づるであるアリーシアをそう簡単には手放してはくれなかった。
しかし、そんな日々もある日突然終わりが来る。
それは父親の死から始まった。
【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた
紬あおい
恋愛
皇女にべったりな護衛騎士の夫。
流行りの「君を愛することはない」と先に言ってやった。
ザマアミロ!はあ、スッキリした。
と思っていたら、夫が溺愛されたがってる…何で!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる