代理で子を産む彼女の願いごと

しゃーりん

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ショコルテ公爵は、フィリーナの義理の伯父だと言った。ということは…
 
「やはり、奥様はフィリーナの母親のお姉様でいらっしゃったのですね。
 ただ、フィリーナの母は実家から絶縁されたと耳にした記憶があるのですが…」

「フィリーナの母親は夫となった前伯爵と愛し合っていて結婚したいと言った。
 だが、伯爵の両親が好ましい人物ではなくフィリーナの祖父の侯爵に反対された。
 しかし、持参金なしでなら好きにすればいいと嫁ぐことになった。
 結婚後、伯爵の両親が侯爵に金の無心をした。そのことにより絶縁となった。
 妻は妹と会えなくなった。絶縁されたことでフィリーナの母が付き合いを断ったからだ。
 でもたまに手紙のやり取りだけはしていた。
 だから、フィルリナの名前は知っていた。」

「フィリーナの本名はフィルリナというんだな。そう呼んだ方がいいか?」
 
「あ、はい。念のため偽名で過ごしてきました。
 今はまだフィリーナがいいです。叔父と縁が切れるか2年後までは…」 
 
前伯爵の両親だけでなく弟までが好ましい人物ではなかったわけだ。
母親の実家と縁遠くなっただけでなく父親の弟とまで縁を切りたいとは…
伯爵の両親はもう亡くなっているらしいから、問題はこの現伯爵だけだな。

「そういえば、伯爵は髪色だけでフィルリナと呼んで決めつけていたわね。
 珍しいとは思うけど…まさかそういう珍しい物好きな人に伯爵は売るつもりかしら?」

「お義母様、セラフィーネ様もアリシアもリシェルもリディアも同じ色です。まさかそれは…」

「いや、まさかとは思うが一応注意するのに越したことはない。
 アリシアは幼女ではなくなったが、まだ子供だ。買いたい男を伯爵は知っているだろう。
 やはり2年後までは用心が必要だな。」

「アリシアちゃんは公爵邸に?」

「閉じ込めてしまって可哀想だが…我儘も言わず良い子だよ。
 フランツの嫁のヴィオラと仲が良い。ここに連れてきてやりたいが、今は無理だな。」

「ショコルテ公爵、実は警備の者から、昨夜から不審な人影を報告されています。
 アリシアを探すなら、そちらにもいくかもしれません。
 使用人などにも確認するかもしれませんね。
 別人に代わったかどうか、アリシアがいるかどうか。」

「アリシアはリーシャと名乗って、遠縁の娘として預かっていることにしている。
 公爵邸の使用人は口が固い。大丈夫だとは思うが、徹底した方がいいな。」



伯爵を不敬罪に陥れるための舞台はいつがいいか話し合うことになった。

「半年後に国王陛下の在位10年の祝賀会がありますよね。
 それにはセラフィーネが出席することになる。
 式典では伯爵もさすがに大人しくするでしょう。
 ですので夜のパーティーで伯爵が醜態をさらすように仕向けたいですね。」

「伯爵はフィリーナの顔をしっかり覚えていないのだろう。
 それに11歳と今では大分変わるだろうし。
 私とセラフィーネがきっぱり否定して終わりだよ。不敬罪で牢か病院行きだ。」

「では半年間、気を抜かず部屋に閉じこもって外出もしない。フィー、いいね?」

「あら、そんなの子供たちが可哀想よ。お庭には出たいわよね。
 カツラと帽子をかぶりましょう!
 フィーちゃんも子供たちも髪色を隠せばどこかで覗かれても気づかれないわ。
 セラさんとフィーちゃんが一緒のところを見られなければ問題ないわ。」

「確かにそうだけど…髪色で判断されそうだからカツラか…アリシアにもいいんじゃないですか?
 正直、話を聞く限りではアリシアの方が心配な気がします。」

「そうだな。解決するまであの子には常時カツラをかぶってもらおう。」 

なんとか方針が決まった。
だが、髪色が珍しいから買いたい者がいるのか、若い娘だから買いたい者がいるのか。
伯爵が売るつもりだった相手がどっちなのかが気になった。




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