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しおりを挟むカシュー伯爵家の家宅捜索と使用人の聴取がすぐさま始められた。
ショコルテ公爵は騎士団長と共にセスを尋問することにした。
セスという部下は、8年前に伯爵と会話をしていた人物だ。当時のフィルリナが名を言っていた。
前伯爵の事故に見せかけた殺人、フィルリナを売るはずだった人物、アリシアを売るはずだった人物を知っているはずで、この3点を重点的に聞き出すことになっていた。
「あの事故はねぇ、一緒に死んだ御者のせいですよ。
馬を驚かせて崖下へ落ちる。その手筈が、逃げ遅れて自分も一緒に崖下へ落ちたんです。
思惑通り、伯爵夫妻は亡くなり、死んだ御者への金も払わずに済んだ。ということです。
そそのかしたのは、アリシアを売るつもりだったテニッシュ伯爵です。
真面目な兄より愚鈍な弟と仲良くしたかったようですよ?アリシアを得るために。
アリシアを囲う家をカシュー伯爵領に用意させていましたからね。
王都とテニッシュ領との間にあるんですよ。カシュー領の家は。
ひょっとしたら、アリシアだけでなくて、他の子も買って置いておく家だったかもね。
幼女が好きなようだった。匿う所がまず必要だったんだね。
アリシアが逃げて激怒してたけど、そのあとすぐに死んだってね。
他の子を攫おうとしてバレて殺されたってことはない?…ないか。
フィルリナを売るつもりだったのはナフィン侯爵です。珍しい髪色に惹かれたらしいね。
父親の前侯爵の影響らしいよ?珍しいものが好きになったのは。
いろいろ集めてるみたいだ。収集用の家があるんじゃない?
フィルリナが逃げて残念がっていたよ。見つけたら知らせてくれって。
で、今回見つかったけど、別人に成りすましているようだって侯爵に言ったんだ。
セラフィーネの名を言ったら、笑い出した。
彼女は死んだって聞いた。だから、フィルリナが成りすましているのは本当だろうって。
でも子供を産んでいるって知ってフィルリナへの興味が薄れたようだった。
そこで伯爵が13歳のアリシアという妹も同じ髪色だからどうか?って勧めたんだ。
侯爵はアリシアを買うと言ったよ。
ひとまずフィルリナを取り戻してからアリシアもって計画だったけど、捕まっちゃったね。」
…セスは単なる部下だ。指示されたように動いただけだろうと思い、素直に話せば刑期も考慮してやると言えば、ペラペラとよくしゃべる。
「侯爵はセラフィーネは死んだって『聞いた』側なんだな。言った人物は誰なんだろうな?」
「さあ?珍しいもの好きだった父親じゃない?」
確かに王弟の娘が死んでいるだなんて迂闊に他人に話す馬鹿はいないか?
趣味が合う親子ならあり得るか…
「ナフィン侯爵はどういう経緯でフィルリナを買うことになったんだ?」
「葬儀に来たんだ。そこでフィルリナのことを聞かれた。歳とか婚約者はいるかとか。
だから、息子の婚約者にでもしたいのかと思った。
でも話しているうちに珍しい髪色に惹かれたって言ったんだ。
あまりにジッと見てるんで、冗談っぽく『買います?』って聞いたんだ。
すると金額を提示された。ってわけ。
で、伯爵に言ったら決まったんだ。」
「…お前が売ったようなもんじゃないか。」
「あ……そうかも?」
このセスという男は軽いな。頭も口も。深く考えないところが伯爵と気が合ったか?
「カシュー伯爵は他に何か悪事に加担はしていないか?」
「意外と小心者なんだよ、伯爵は。案を出されるとソノ気になっちゃうけどね。」
そうだろうな。言われたことに従うのは使用人だ。あの男は領主には向いてない。
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