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しおりを挟むマデリーンの誕生日当日になった。
アークライトはマデリーンが来るのを今か今かと待ちわびていた。
そしてようやく姿を見せたマデリーンは……美しかった。
侍女にじっとしているように言われたマデリーンは化粧や髪形をセットされ着せられたのはウエディングドレスだった。
何も聞かされていなかったため、マデリーンはひどく驚いた。
実はマデリーンと入籍して1週間ほどが経ったとき、もうこの時にはすでに家族も使用人の誰もがマデリーンをいい子だとわかっていたこともあって、アークライトは両親にある案を出した。
『2か月後のマデリーンの誕生日に結婚パーティーをしたい』と。
教会で結婚式を挙げるつもりはないが、家で家族と使用人たちとでパーティーをしようと言ったのだ。
マデリーンは初婚なので、結婚式をしたことがない。
その代わりとなる場を設けたかったのだ。
「あら。いいわね~。私のウエディングドレスをマデリーンのサイズに手直しさせましょうか。」
「ドレスを?いいのですか?」
「いいのよ。一度しか着ていないからもったいないなと思っていたの。いい生地だから。
最近流行りだした貸衣装に寄付しようかと思ったけれど、なかなか手放せなくて。」
昔は一度しか着ることがないウエディングドレスに驚くほどの時間と金をかけていたという。
今でも王族はもちろん、公爵令嬢や侯爵令嬢は贅を尽くしたドレスを作るが、伯爵家以下は結婚相手の爵位によってそれほど贅を尽くすものではなくなっていた。
下位貴族によっては、それこそ貸衣装で済ますことも増えたという。
それはそうだ。高位貴族の母のウエディングドレスみたいなのが貸衣装には並んでいるのだ。
一から作るよりも豪華なドレスだろう。サイズが少々合わなくともほんの一時のことなのだから。
そんな母のウエディングドレスが密かに手直しされ、アークライトは指輪を用意し、当日を迎えたのだ。
「アークライト様、条件に結婚式はしないって……」
「うん。これは結婚式ではないかな。結婚パーティーだ。誕生日パーティーでもあるけど。」
「この、ドレスは?」
「母上のドレスだ。よく似合ってる。綺麗だ。好みじゃなかったか?」
マデリーンは首を横に振った。
「とても、綺麗で嬉しいです。ありがとうございます。」
「うん。みんな、中で待ち構えているよ。行こうか。」
合図をすると扉が開いた。
両親と子供たち、使用人たちが拍手で出迎えてくれた。
『結婚おめでとうございます!』『誕生日おめでとうございます!』
あちこちから祝福の声をもらい、そのまま席につこうとしたが前に立たされた。
そして、何故か執事長も前にやってきて、言った。
「お二人とも、いかなるときも支え合い、仲睦まじい夫婦であり続けると約束しますか?」
やられた。周りはみんなニヤニヤしている。
結婚式を挙げて誓いの言葉を述べない代わりに、家族と使用人たちの前で約束させられるのだ。
前の結婚がダメになったことで、もう何も誓う気はないつもりだった。
だからこんな予定はなかったのだが、仕方ないか。
「約束する。」
「約束します。」
……これで子供たちの前で喧嘩でもしようものなら、仲良くしなさいと怒られそうだ。
この流れのまま指輪をマデリーンの指に嵌め、彼女に口づけた。
周りからは歓声を受け、マデリーンの顔は真っ赤だった。
そうだよな。なんだかんだとまだ口づけすらしていなかった。おそらく初めてだったのだろう。
……今日は初夜だけど、大丈夫だろうか。
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