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しおりを挟む結婚パーティーが終わり、夜になった。
今日からマデリーンは部屋を移る。夫婦の部屋に。
今頃、初夜の準備をしているかと思ったら、アークライトも少しソワソワした気分になった。
普通の貴族の男が純潔の女性を抱く機会は、結婚する妻以外に経験することはほとんどない。
閨教育も、娼婦も、未亡人も、一夜の遊びも、純潔の女性はいない。
愛人志望の下位貴族には対価目的で純潔を売る女性もいるが、そんな面倒な女性を相手にする気はない。
平民の女性と付き合えば可能性はあるが、意外と平民は若くして経験している者も多いし、気軽に手を出すと貴族が平民を食い散らかすと悪い噂になることもある。
なので、前妻以来、二度目の経験になる。
男にとって、女性が自分しか男を知らないというのは嬉しいものだ。
だからこそ、妻を抱くときは感情が入ると思っている。
前妻のように、性に積極的になることは嬉しいことでもあったが、行き過ぎてはダメだ。
モートンは無事に産まれたが、前妻は流産の危険があったにも関わらず自分の性欲を優先しようとしたのだから許せる範囲を彼女は越したのだ。
モートンを出産後、しばらくして前妻は週に2回ほど友人宅を訪れるようになった。
友人に協力してもらってそこで馬車を乗り換えて男娼か遊び相手と不貞をしているのだと思っていた。
そのうち不貞を理由に離婚するつもりでいたが、子供が小さいので悩んでいた。
そんな時だ。フォレスターからの情報を聞いたのは。
前妻の相手は、友人の夫の弟。つまり、友人宅で不貞をしていたのだ。
そして妊娠してしまい、二人はアタフタしていたこと。
夫の子供だと誤魔化すために、アークライトの寝込みを襲う計画をしていることを知った。
寝込みを襲われるまでもない。不貞と妊娠の事実を突きつけて離婚し、実家に引き取ってもらった。
子供は死産、前妻は修道院に行った。
ちなみに前妻を夫の弟と不貞させた妻の友人も、夫から離婚された。弟は貴族籍を抜かれた。
夫は家の中が不貞現場となっていたことを知らなかったらしい。
弟の相手が独身なら遊び相手としてまだ許せたが、既婚者で次期伯爵夫人だったのだ。
妻も弟も処分しなければ、同罪だと見做されてしまうため、切り捨てた。
もちろん、アークライトは妻に不貞された男として注目を浴びた。
一部、閨で満足させられなかったのだろうと笑われていたことも知っているが、いつの間にか、前妻イヴは色狂いだったという噂が回り、やがて消えた。
次期伯爵夫人の座が一つ空いた。
そのことに気づいたからだ。
男も女も、自分の身内や親戚の中に縁を結べる令嬢はいないか探し、縁談の申し込みを始めたからだ。
だが、アークライトに子供が2人いるということでさすがに初婚の令嬢は数が少なかった。
行き遅れていても可能性があると子爵・男爵令嬢の申し込みはあったが、一律して断っていた。
結局、マデリーンと結婚することに決めたのは、信頼するフォレスターが選んだということと、彼女の境遇に同情したことが大きかった。あとは第一印象だ。
結果、アークライトはマデリーンを選んでよかったと思っている。
そんなことを考えていると、マデリーンが寝室にやってきた。
さあ、初夜だ。
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