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しおりを挟む憶測であっても辻褄が合ってくれば、さすがのローゼマリーもマチルダを信じきれなくなった。
「お兄様、私の誕生日パーティーから二週間も経つのにどうして話してくれなかったの?」
さすがに、今言われたように順序立てて話してくれれば、ローゼマリーも納得する。
ロベルトにも無理を強いていたことを謝ることができたのに、二週間も知らないままだった。
彼も自分のしたことが侯爵家に伝わっていないのではないかと思っているかもしれないのに。
「話してもよかったんだけどね。お前はすぐに態度を変えてしまうだろう?その前に、どうせならマチルダ嬢の独断かどうか調べることになったんだ。ロベルトにもそう伝えてある。」
「調べる?」
そっか。父が動いていることをロベルトも知ってるのね。
「そう。家族ぐるみでグレッグよりもいい婚約者を狙っているのか、グレッグの家族も承知の上なのか。」
なんだか大事になっている気がするけれど。
「マチルダ嬢は今はロベルトに狙いを定めているけどな、ロベルトが無理だと思えば他の男を狙うだろう。」
「え?!そうなの?ロベルトが好きなわけじゃないってこと?」
「それはない。もちろん、いい男として狙うという意味じゃ好意はあるんだろうけど。」
そういうもの?
「ローゼマリーからなら奪えそうだと思ったんじゃないか?」
「……男女の友人関係が成立すると簡単に信じたから?」
「そうだな。ある意味、洗脳しやすいと思っただろう。」
「洗脳?!」
「ああ。父上も母上もそれを心配していたんだ。お前は純粋培養で育ったからな。」
純粋培養……いい意味じゃなさそう。
「さっき、思ったよりも感化されていなかったって言ったのは、男女の友人関係が成立しないってことに私が納得したから?」
「そうだ。マチルダ嬢に感化され過ぎていたら、認めない恐れもあったからな。でもお前はロベルトへの思いの方が強くて、男女の友人関係を否定することができた。」
そんなに危うく見られていたとは思ってもみなかったわ。
「マチルダ嬢は、おそらく婚約者の交換を狙っていたんじゃないかな。」
「マチルダとロベルト、私とグレッグってこと?」
「ああ。マチルダとロベルトが噂になることでグレッグの家が浮気だと騒ぎ立てる。婚約解消に持ち込んで慰謝料を手に入れる。我が家にもそう仕向けるつもりだろう。
ロベルトは責任を取ってマチルダと婚約。傷心のお前をグレッグが慰めて婚約に持ち込む。
そんな計画なんじゃないか?」
「私はグレッグに慰められるの?それで婚約?……有り得ないわ。」
「慰めてる姿を誰かに見せれば噂になる。いや、グレッグが噂にしただろうな。」
絶対に嫌。
でも、グレッグに性的な目で見られていると知らなかったら、そこまで嫌だとは思わなかったかもしれない。
友人関係にあると信じていたから。
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