男女の友人関係は成立する?……無理です。

しゃーりん

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父と母はそれぞれの婚約者と婚約破棄することができた。

ということは、この後に二人の結婚の話になるということ?


「フルールの婚約が破棄されたのは卒業のひと月ほど前のことだった。彼女はまだ学園に来なかったが、スタッドはやってきた。
私とリンジーベルの婚約が破棄されたことは何となく噂になっていたが、スタッドが来た後に噂が変化したんだ。」


変化?スタッドが何かしたってこと?
 

「それまで、私とリンジーベルの噂は彼女の浮気だと正しく密かに広まっていた。しかし、スタッドも関係者か、あるいはリンジーベルの従弟として何か知っているのではないかと思った者が彼に聞いたのだろう。それを待っていたかのように、スタッドは嘘をついた。フルールを悪者にして。」


スタッドのついた嘘は、母を悪とするものだったらしい。


「スタッドとリンジーベルの関係を怪しんだフルールが、私に相談をしてきた。
フルールに疑われたリンジーベルがスタッドに泣きついている姿を、浮気の真偽を聞こうとした私が見てしまった。
それにより、リンジーベルは私から婚約を解消されてしまうことになった。
スタッドも、フルールとの婚約が解消されてしまった。
全てはフルールの思い込みのせいで。
そういう噂に変わってしまったんだ。」

「どうしてそんなことに?」


思わず口から言葉が出てしまった。


「リンジーベルの名声を取り戻せと伯爵家はリンジーベルの父親から脅されたようだ。スタッドのせいでリンジーベルが傷物扱いになってしまったから。まだ純潔の彼女を少しでもいい相手と結婚できるようにしたかったのだと思う。」


それは勝手すぎない?どうして母が悪者にされなければならないの?


「私はすぐさま訂正した。だが、リンジーベルに憧れを抱いていた令嬢は多く、嘘の噂の方を信じる者が多かった。つまり、フルールが悪い、と。」 


そんな…… 


「私は父にスタッドのことを報告し、父は伯爵に怒鳴り込みに行った。
伯爵はスタッドに、リンジーベルの名声回復に努めろとは言ったが、フルールを悪者にしろとは言っていないし、内容はスタッドが考えたものだと言ったらしい。
伯爵はスタッドを伯爵家の籍から抜くことを決めた。」


息子を平民にするから許してくれって?
母と婚約破棄になった男なんて、どのみち平民になったんじゃないの?
あぁ、噂はリンジーベルだけじゃなくて自分の名声回復も含まれていたってことね。

スタッドは母を愛していたわけではなかったということかしら。
母よりもリンジーベルを庇っているのだから。
 

「私はもう我慢せずに、リンジーベルとスタッドがベッドにいたことが事実で、フルールは犠牲者だ、スタッドの話は嘘だと声をあげた。だが、愚かな者も多くてね。浸透しなかった。」
 

父の悔しさが伝わってきた。 


 
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