男女の友人関係は成立する?……無理です。

しゃーりん

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それから数日後、ローゼマリーは新たな同性の友人たちと昼食後、おしゃべりを楽しんでいた。
 
そこにマチルダがやってきた。


「ローゼマリー、あなたのお母様って悪女って呼ばれていたそうね?」

「母の名はフルールですよ?」

「名前じゃないわよっ!誰もが憧れるお似合いの婚約者同士を別れさせた悪女って聞いたわ。」


名前じゃないのはわかっていたわ。ちょっと、とぼけただけなのに。


「どなたから話を聞いたのか知らないけれど、その情報は間違っているわよ?母が別れさせたのではないわ。父と母の元婚約者同士が浮気をしたから婚約を破棄することになったのよ。」


父から話を聞いていてよかったわ。
まぁ、知らなかったとしても母が悪女だなんて信じなかっただろうけど。
 

「え?あなたの両親、どちらも婚約者に浮気されたの?あははっ……惨めね。」


惨め?
ローゼマリーは首を傾げてしまった。


「わからない?浮気されるって、魅力がないと思われたってことでしょう?惨めだと思わないの?」


ローゼマリーは納得した。とことん、マチルダとは考えが合わないのだと。


「ローゼマリー、どうかしたか?」


ロベルトが心配して来てくれたらしい。


「あのね、マチルダとは本当に考え方が合わないなーって思っていたの。」

「何を言われたんだ?」

「両親が浮気されたのは魅力がないからで、惨めだって。マチルダの考えでは浮気した方が善で浮気された方は悪みたいなの。でも私は逆だと思うわ。浮気された方が馬鹿にされるなんておかしいもの。」

「ローゼマリーの考え方が合ってるよ。」

「そうよね。よかった。」

「どうしてよっ!!」


マチルダが私たちの会話に割り込んで叫んだ。


「どうしてって、両親の元婚約者たちは罰を受けたもの。二人とも平民になったそうよ。」
 

そこまでは知らなかったらしい。
マチルダは無言になったけれど、何かを思い出したようにまたローズマリーに向かって言った。


「あなたの母親が悪女って呼ばれていた理由はもう一つあるのよ。
公爵家の跡継ぎだったあなたの父を無理やり婿にしたんですってね?襲い掛かって既成事実でも作ったんじゃないかって噂になっていたらしいじゃないの。」


そうなの?母が既成事実に持ち込んだという噂は知らなかったわ。


「それも情報が間違っているわ。父が勝手に跡継ぎを放棄して、母の元に押しかけたそうよ。祖父は驚いて、外聞が悪くならないように仕方なしに母の婚約者にしたらしいわ。それから1年かけて、父は母を口説き落としたの。」 


一緒にいたローゼマリーの友人たちは、『ステキ』と頬を染めてうっとりしていたわ。
 

「ねぇ、マチルダ。あなたが悪女呼ばわりした私の母は、侯爵よ。わかっているかしら。」

「結構な侮辱だよな。ローゼマリー、義母上じゃなくて義父上に報告した方がいいよ。」
 

マチルダの実家はどんな報復がされるだろうかと言ったロベルトの言葉に、マチルダの顔色は真っ青になった。
  

 
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