男女の友人関係は成立する?……無理です。

しゃーりん

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スタッドを想っているフルールは傷つくだろう。
 
卒業できないのはマズいため、スタッドとリンジーベルの関係は卒業前後までバラさないことにした。 

それまでは張りぼてのような友人関係を楽しんだ。


アトラスが好きなのはフルール。
フルールが好きなのはスタッド。
スタッドが好きなのはフルールだが初恋はリンジーベル。
リンジーベルが好きなのはアトラスだが初恋はスタッド。
 
何となくアトラスの気持ちに気づいているフルール。
だが気づかないフリをしてスタッドを一途に想うフルール。

フルールが好きなくせに初恋のリンジーベルにアトラスより先に触れる優越感を滲ませるスタッド。
アトラスが好きなくせにスタッドも手放せなくて思いあがっているリンジーベル。


これのどこが憧れの婚約者同士で、憧れの友人関係なんだ?

男女の友人関係の実情なんて、こんなもんだ。




そして、その日はやってきた。

卒業試験をちょうど終えたばかりで、時期的にも問題なかった。

運が良ければ彼らは二人きりだろう。
そう思いながら、リンジーベルを見舞うためにフルールと向かっていた。

なかなか二人きりにはなれないフルールとの時間は幸せだった。
今日、彼らの関係をバラせなくても、近いうちには婚約破棄となるだろう。

そうなれば、こうして二人きりの時間がいくらでも取れるはずだ。
いや、その前に、彼女に好意を伝えて婚約しなければならない。
親にも跡継ぎにならないと告げなければ。

説得には自信がある。フルールにも、親にも。

アトラスとフルールの未来は確定したようなものだと思っていた。 


 
運良く、リンジーベルとスタッドは行為の真っ最中のようだった。

二人の会話を扉越しに聞きながら、『意外とスタッドは鬼畜だな』と思っていた。
そしてリンジーベルのこともまるで娼婦のようだと感じた。
夫でもない男の子種を飲んでやることもあるなんて、慣れたものだな。 

フルールも聞いているのは気づいていた。 
自分が愛した男と、自分をどこか見下していた女が、男女の関係にある。

衝撃は強かったことだろう。

だが、こうでもしないと優しいフルールはスタッドを許してしまうかもしれないと思った。
スタッドはフルールに婚約解消されると行く先はもうない。
頭が良くても文官の試験はもう終わっているし、浮気で婚約解消された男を婿に迎える貴族などいない。
 
泣きつかれたら、二度としないと約束させて結婚する可能性もあると思った。

だから、フルールを部屋から遠ざけなかった。

 
……まさか、ベッドの上の二人を見るとまでは思わなかったが。

  


 
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