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しおりを挟む娘に甘いリンジーベルの父モーラン侯爵が、アトラスが学園で話したことを非難してきた。
「リンジーベルは純潔なんだぞ!スタッドとベッドにいたなどと広めれば純潔を疑われて新たな縁談話が流れてしまったではないか!!」
どこの誰か知らないが、バルスモンド公爵家が拒否した令嬢を望む貴族がいたんだな。
「ベッドにいたのは事実です。それに、モーラン侯爵が蒔いた種でしょう?あなたがリンジーベルの名声回復を指示したためにスタッドはフルールを悪者に仕立て上げた。」
「侯爵令嬢を悪者に仕立てあげろとは私は言っていない!」
「誰かを悪者にすることなく、どうやってリンジーベルの名声回復を望めるのです?
関係者は私とフルールしかいない。スタッドは私を悪者にできなかったため、学園を休んでいるフルールを選ぶしかなかった。
被害者であるフルールが非難されることになった原因は、娘であるリンジーベルを守ろうとした侯爵が発端です。」
スタッドが、自分が悪者になるくらいの気概のある男ならリンジーベルを守れる方法はあっただろう。
モーラン侯爵がそう指示していれば、こんなことにはならなかったのだ。
「娘を守ろうとするのが親だろうがっ!」
「そのために、一人の令嬢を傷つけることは構わないと?フルールはハークライト侯爵家の跡継ぎですよ?ただの侯爵令嬢とは違う。リンジーベルの名声とは比べ物にならない。
そのフルールの名声をどうしてくれるのですか?私はフルールの名声を守るためには何度でも、具体的に事実を話しますよ。リンジーベルとスタッドの関係がいつからなのか、それからベッドで話していた内容も。
スタッドの子を私の子と偽り托卵するかもしれなかったことや、純潔だと言い張るリンジーベルがスタッドの子種を飲むような奉仕までしていたこと、それから……」
「待ってくれっ!!……そこまで具体的に話すと?」
「ええ。本人たちが語ったことなので事実です。スタッドのように嘘ではありません。」
モーラン侯爵は頭を抱えていた。アトラスが本気だとわかったのだろう。
「……わかった。確かに私の考えが浅はかだった。君を非難するのは間違いだ。悪かった。」
「そんな謝罪だけで、フルールへの非難が収まるとでも?」
「……どうしろと言うんだ?」
「フルールもそうだと思いますが、私もリンジーベルとスタッドの顔は二度と見たくない。」
「……スタッドのように、リンジーベルも平民にしろと?」
「バルスモンド公爵家はハークライト侯爵家側につきます。」
モーラン侯爵やリンジーベルが被害者ぶったり誤解だと触れ回っても、バルスモンド公爵家やアトラスが黙っていない。
もはや、モーラン侯爵が娘の名声を守ろうとすることは逆効果になる。
「リンジーベルが平民として暮らし、貴族に直接関わらないのであれば侯爵が嫁ぎ先を世話しても構いませんよ。」
逆恨みされては面倒なので、裕福な平民に嫁がせて大人しくさせろと言った。
モーラン侯爵はそれを受け入れた。
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