男女の友人関係は成立する?……無理です。

しゃーりん

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アトラスは父に、公爵家の跡継ぎから外してほしいと申し出た。


「……フルール嬢のためか?同情で人生を棒に振るつもりか?確かに、あんな男を紹介してしまったうちにも負い目はある。しかし、婚約破棄に手を貸したし、彼女を傷つけたあの二人は平民になった。十分ではないか?」

「跡継ぎはヴィオスに。」


父の問いに答えず、アトラスは意思を変えなかった。


「同情ではない、か。お前はずっとフルール嬢を想っていたのか?」

「はい。」

「リンジーベルのことは?彼女はお前の気持ちに気づいてあんなことを?」

「いえ、リンジーベルは気づいていません。彼女は元々、性格の悪い女でした。」

「そうなのか?」

「ええ。スタッドに好かれている自分に酔いしれて、フルールを見下していたような女です。スタッドの気持ちがフルールに移っていることにイライラしながらも、性欲処理の相手に誘われて喜んで相手をしていたのですから。」


言葉にして言えなくても、スタッドの体にフルールよりも先に触れたと心の中で笑っていたのだろう。


「……お前は彼らの関係をいつから知っていたんだ?」

「関係を持って二年、そのほぼ初めからだと思います。彼らの空気感の違いを感じて調べましたから。」

「どうしてもっと早くに婚約解消を言い出さなかったんだ?」
 
「フルールにも関係することですから。」

 
父は少し考えた後、言った。


「先を読んだか。お互い結婚して子供を産んだ後、何らかの方法で彼らに不貞させる。離婚するつもりだったんだな。うちにもハークライト侯爵家にも跡継ぎができれば、フルール嬢を手に入れる。いや、ハークライト家はお前の子でも問題ないと思ったか?」

「まあ、そんなところです。ですが、ヴィオスが元気になった。」

「そうだな。だからか。お前が婿になるために、彼らの関係を結婚前にバラしたんだな。」
 
「いえ、バラす予定ではいましたが、それより先に目撃してしまっただけです。」

「そうだな。はあ……ハークライト家は了承しているのか?」

「いえ、まだ何も話していません。フルールに告白すらしていませんから。」


父は呆れたような顔をした。

 
「彼女に断られても、公爵家の跡継ぎには戻さんぞ?」

「それはもちろんです。」

「捨てられたらヴィオスの下について働けよ?」
 
「万が一の場合はそうしますが、受け入れてもらう自信があります。」


父は苦笑して、許してくれた。


「初恋が実ることを願っているよ。」


最後にそんな言葉を投げかけて。


 
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