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しおりを挟む王女様に会いに来たついでにユリアのところにも寄っているのだろうか。
またしても偶然にも一人でいるところを腕を取られて近くの部屋に連れ込まれる。
そして、シグルドは我慢できないといった様子で貪るようにユリアにキスをする。
………まだ15歳の王女様相手に欲情してはマズいからかな?
「よし!これで頑張れる。」
栄養補給じゃないんだけど。
「あの、シグルド?一体なんでこんなこと?」
「あー。また落ち着いたら話すからちょっと待って。癒された。またな。」
そう言って部屋を出て行った。
えー?説明になってない。またなって何?一体、私はどうしたらいいの?
よくわからないけど、王女様と仲良くない、とか?
でも、王女様と結婚してうまくいかなくても私は愛人になるつもりはないし。
まさか、王女様が恋人を連れてきているとか?まさか、ね。
国の力関係で言うと、隣国の方が大国だから強い。
王女様がこの国に嫁ぐのも友好関係を強力にするものだろうから。
なので、シグルドは王女様との結婚を拒否できない。
婚約者の王女様がこの国に来たのに、私との関係がバレたらマズいでしょ。
いや、もう関係はないんだけど。このキスがよくわからないだけで。
たとえ、王女様が恋人を連れてきていたとしても、シグルド様の子供を産んで王族と結婚させることが目的なんでしょ?
まさか、恋人の子を托卵で産んで王家に嫁がせるとか?
それって意味ある?……ないこともないか。
隣国王女様の子供が王族と結婚して、そのうちこの国の王になる子を産む。
シグルドの子でなくても、隣国は自国王女の血をこの国に混ぜたいだけなんだから。
……というか、これって本当にそれでいいの?
孫が王太子もしくは国王になったら、隣国に合併されるとかないよね。
近隣国の王子と王女が結婚することは、昔からよくあること。
だけど、今の隣国国王は好戦的。
それを避けるために王女様を迎え入れることになったんだけど、違う国でも隣国の第3王女様が王子に嫁ぐ予定だよね。
すでに第2王女様は嫁いでいる国があるし。
近隣国全部、隣国に従わされてない?
国王の子供の多さも近隣国に嫁がせるため?
うわー。なんか嫌だ。計画的だ。
もちろん、戦争はしたくない。
もし、隣国の属国になったとしても、生活が大きく変わらなければ国民は気にしない。
この国の王族と高位貴族はちょっと困るかもしれないけど。
王族も抵抗しなければ、一貴族になれるだろうし。
申し訳ないけど、平和に暮らせるなら国の名前がどう変わろうと私は構わない。
こんなことは口に出しては誰も言えないだろうけど、似た考えの人は多いと思う。
平和的に解決しよう、ね?
と、なんだかいろいろと考えてしまったけれど、これはもちろん妄想。
王女様とシグルドの間に、王子に嫁げる女の子が産まれるとも限らないしね。
まさか、男の子をこの国の王女と結婚させて子供を王太子にするようなことはできないし。
この国の王女は王族に残れないからね。
男の子が産まれても、王配にはなれない。
いや、隣国はそれすらも変えてしまう?……まさかね。
またいろいろと考えてしまった。
それより………侍女が簡単に部屋に連れ込まれても警備がやってこない方が問題じゃない?
誰にも言えないけど!相手が誰か聞かれても困るから言えないけど!
王城の警備!甘いよ。
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