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情報がほとんど更新されないまま時間は過ぎ、とりあえず隣国からの圧はなくなったということで周りの意見は一致していた。

平和主義の第2王子が国王になったのであれば、戦争をちらつかせて脅していた前国王よりも友好的な協力関係を結ぶことになるだろう。
もちろん、結婚ではなく。


2か月ほど離宮で過ごしていた時の、第4王女メラニー様の今更どうでもいい情報が入ってきた。
無口、無表情は聞いたことがあったけど、冷酷というものが加わった。
 
お茶の準備をした侍女がテーブルに置くときに少し大きな音を出してしまった。
ただそれだけの粗相なのに、王女はケーキを食べるためのフォークで侍女の手の甲を刺した。
その侍女は解雇されたらしいが、罪人のように国に連れ戻されたという。

この話は離宮に残っていた使用人を強制送還する前に聞き出したとか。
他にもいろいろあるらしいが、まだマシな話がコレだという。

つくづく、そんな王女様が公爵家に嫁がずに済んでよかったというのがみんなの意見だった。


ある休日、ユリアは問答無用に馬車に乗せられていた。
見覚えのある使用人に両脇を固められ、乗せられた馬車にいたのはシグルド。
話があると言われて連れてこられたのは、あの別邸。
そう。見覚えのある使用人は別邸でお世話になった使用人たちだった。


「聞きたいことがいろいろあるだろう?聞いていいよ。」

「じゃあ、シグルドと王女様の結婚は初めから嘘?クーデターの計画を知ってたのよね?」

「いや。あの王女との婚約は本当だった。クーデターを実行すると聞いたのは卒業してからだ。」


第4王女メラニーが12歳、シグルドが15歳の時に婚約が決まった。
隣国としては、本当は王太子に嫁がせたかったが王太子には既に妻子がいたし、メラニーが結婚できるのも早くて4年先になる。
他に王子はいなかったので、王弟の息子であるシグルドとの婚約が決まった。
ただし、メラニーの子供を必ず王家に嫁がせること。
それを守らなければ友好的な関係ではいられなくなる。半ば脅しだったが受け入れた。

条件をのんで結婚するつもりだった。
だけど、1年ほど前に第3王女と結婚する予定の近隣国の王子から情報をもらった。

隣国第2王子は国王と王太子に批判的な考えを持っている。
状況次第でクーデターを考えているらしい、と。 

下手に動けないが、両国ともそれを期待した。
だけど、それがいつになるかはわからないため、王女と結婚しても若さを理由に18歳までは抱かないつもりだった。
それに納得してくれない場合は避妊薬を飲み、子供は作らないつもりだった。

状況が変わったのは、第3王女と第4王女がそれぞれの嫁ぎ先で使命が与えられたこと。
要は、どちらも王太子及びその子供の排除だった。

それぞれの王女と夫が王妃と国王になるために。

つまり、わが国の現王太子とその子供たちが亡くなれば、次の王太子はシグルドが有力になる。
その妻になるメラニーは自らが王妃となれるのだ。

こうなったら王女2人が結婚する前にクーデターを起こすしかない。

隣国第2王子はそう決意した。

第3王女と第4王女はそれぞれの嫁ぎ先の国に向かう。
先に第3王女の結婚式があるため、国王はそれに列席するために向かう。

その時を狙った。

隣国には国王と同じ思想の兄の王太子だけになる。
王太子を捕らえ、結婚式に向かう途中の国王も捕らえ、数日後に結婚するはずだった第3王女と結婚式に向かう途中の第4王女はそれぞれの国の騎士によって強制送還。

なるべく死者が出ないように、別々の場所で身動きが取りにくい時に捕らえたのだ。

もちろん、国王と同じ主義の老害のような大臣たちも捕らえられて一掃したらしい。

平和的解決を望む貴族も多く、第2王子の平和的友好案によって国内外ともに落ち着き始めたらしい。




 
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