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レティシアは、妹のルチアとは仲のいい姉妹だと思っていた。
ルチアの下には弟サイラスもいるが、歳が近いルチアとは親友のような関係でもあった。
それなのに、ルチアはレティシアを裏切るようなことをしたのだ。
「ねぇ、どうして?ルチアは私が嫌いだったの?」
「いいえ?大好きよ。大丈夫よ、お姉様。ジョエル様とでもお姉様は幸せになれるわ。」
ルチアは本気でそう思っているらしい。
ルチア本人はジョエル様とうまくいっていなかったからこんなことを企んだのだと思うのに、レティシアなら幸せになれるというその根拠はないに等しいのではないか。
「あなたはリオンと幸せになれると本気で思っているの?リオンが愛しているのは私よ?」
「もちろん、すぐに振り向いてくれるとは思っていないわ。でもそれは時間が解決してくれる。私とお姉様は似ているもの。リオン様もそのうち私を好きになってくれるわ。」
そんなことはない。
リオンは穏やかで優しい男に見えるが、割と嫉妬深くて激しい感情を持つところがある。
現状、全方向でルチアに嫌悪感を持っているリオンが振り向くのは何年も先にあるかどうかもわからない。
ルチアは選択を完全に誤っている。
それに、私たち姉妹が似ているのは外見だけ。中身は全然違うもの。
「ルチア、あなたの相手は誰だったの?」
「……何のこと?私を抱いたのはリオン様。嘘じゃないわ。」
嘘だ。
表情を読み取られないように目を逸らして後ろを向いたのは、後ろめたい気持ちがあるから。
ルチアはただジョエル様と婚約解消すればよかっただけなのに、リオンを巻き込んだ。
それがどうしてなのかはわからない。
家を訪れるリオンなら、仕組みやすいと思ったからなのか。
なにしろ、純潔ではないことを知られてしまえば、ジョエル様と婚約解消できてもいい相手は見つかるはずもないから。
よくアーノン侯爵家を訪れていたルチアは、ジョエル様とうまくいっているものだと思っていた。
婚約して三年。
ルチアは、ジョエル様は無口でクールなところがカッコイイとよく言っていたのに。
それとも、ジョエル様に問題があるのではなくアーノン侯爵夫妻と合わなかった?
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ただ、そうだったとしても、ルチアが誰に体を許したのかがわからない。
いくらルチアでも、伯爵令嬢として、そして婚約者のいる身として純潔がいかに大切か理解しているはず。
それをどうして失うことになってしまったのか。
ルチアは絶対に話さない。
リオンはそんなルチアの被害者だと思う。
ルチアの仕出かしたことで自分がジョエル様に嫁がなければならなくなったことは、もうどうしようもない。
だからせめて、リオンがやってもいない責任を取らされることのないよう、両親に訴えることがレティシアがリオンのためにできる最後のことなのではないかと思っていた。
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