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レティシアは充実した毎日を送っていた。
次期アーノン侯爵夫人として学ぶことは多いが、やりがいはあるし、義母と仲良くなれて楽しい。
これが高位貴族夫人としての正しさではないかと尊敬している。
実家の母を基準に考えると、アーノン侯爵夫人は素晴らしい貴婦人であるが、リオンの母であるトレッド伯爵夫人はひどかった。
それは、育ちの問題だけでなく、学ぶ意欲の問題でもある。
義母は、ルチアがジョエル様の婚約者だった時の学ぶ意欲のなさに苦言をこぼしていたが、ルチアはトレッド伯爵夫人と似たところがあり、ニコニコしていたら誤魔化せると思っている。
義理の母娘となったあの二人は気が合うのではないかという気がしていた。
元を正すと言ったルチア。
確かに、最初からレティシアとジョエル、ルチアとリオンの組み合わせであれば、こんなことにはならなかったのに、と思ってしまう。
ルチアのお腹の子がリオンの子なのかどうかは、ルチアにしかわからない。
もうすぐ生まれてくる子がルチアとリオン、二人の仲を繋いでくれるかもしれないと期待するのは間違っているだろうか。
リオンがどうやってルチアと離婚するつもりでいるかはわからないけれど、離婚してレティシアと一緒になるという考えは間違っている。
子供を生めないレティシアはジョエル様と離婚する。
しかし、リオンとルチアは結婚を続けるべきだとレティシアは思っている。
リオンは子種を絶ったことで、もう子は望めない。
なので、ルチアの子はリオンの子として、トレッド伯爵家を継ぐ唯一の子と見做されるから。
トレッド伯爵家の遠縁の子と結婚させたら、トレッド伯爵家の血筋には違いない。
だから、ルチア。
リオンをちゃんと掴まえていて?
ジョエル様とは話していても気が合う。
好みが似ていると感じた。
真面目で優しく、一歳上なだけなのに余裕のある大人に思える。
これは元婚約者のリオンに子供っぽさを感じていたから余計にそう感じるのかもしれない。
「レティシア、領地に行かないか?」
ジョエル様がそう言ったのは、結婚して四回目の月のものがきた時だった。
落ち込む資格もないくせに、落胆するから。
落胆したいのは、むしろ、ジョエル様の方だろう。
それなのに、お茶会や夜会、それに次期侯爵夫人として覚えるのに精一杯になっているレティシアを気遣い、気分転換しようと誘ってくれているのだ。
領地に行ってみたいと思っていたレティシアは、ジョエル様に頷いた。
領地に行けば、その間はリオンの視線から逃れられる。
そんな思いもあった。
妹ルチアの出産はもうすぐ。
『どうか、リオンに似ている子でありますように。』
そう願ってしまう自分がいた。
以前は、ルチアを抱いていないというリオンを信じていた。
なのに今は、ルチアは本当のことを言っていたのだと思いたい。
子が生まれたら、リオンの未練を断ち切ることができるのではないかと願っているから。
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