裏切る前提の結婚は、心が痛かった

しゃーりん

文字の大きさ
17 / 30

17.

 
 
ルチアが階段から落ちて亡くなったことはリオンも驚いた。
 
ルチアに対しては恨みがましく思う気持ちがある。
死んでほしいと思ったこともあったが、それでも実際に死ぬとそう願ったことに罪悪感があった。




ルチアに嵌められてレティシアと婚約解消することになり、リオンは納得がいかなかった。
自分の妻になるのはレティシアだけだ。

ルチアが何故、嵌める相手にリオンを選んだのかはわからなかった。
彼女から恋愛の意味での好意を感じたことがなかったから。

そして両親は、レティシアよりもルチアとの結婚を歓迎していた。
そのこともよくわからなかった。

自分の気持ちだけが置き去りにされていた。

しかし、レティシアを諦める気はなく、彼女に罪悪感を植え付けて三年で離婚するよう仕向けた。
レティシアは薬を飲んだだろう。
僕を裏切るはずがない。


そんな中、婚約したばかりのルチアの妊娠が発覚した。

ルチアの腹の子は僕の子ではないと主張しても、父は苦笑するだけだった。
そんな父と、リオンは約束することにした。


「父上、僕は今ルチアの腹の中にいる子以外、ルチアと子供を作る気はありません。」
 
「お前、いくら姉と妹を間違って手を出したからって、可哀想じゃないか。責任は取らないと。」


侍女を出して、部屋にルチアと二人きりになったことも迂闊だったと認める。
ルチアがレティシアに見えて、キスがしたかったんだ。

お茶に酒が入っていたことも、呼び出したのがルチアだったことも、気づけなかった。

抱いていなくても、二人きりで部屋にいただけで婚約解消になることだともわかっているが。


「僕が好きなのはレティシアです。」

「……彼女はアーノン侯爵家に嫁ぐ。間違っても手を出すなよ?破滅だぞ。」


それは、わかっている。
だからジョエルが別れたくなるように仕向けるだけだ。
子供ができなければ、レティシアを捨てるだろう。
 

「いずれ、ルチアとは離婚します。だから、僕はルチアを妻として接しない。なので、強要しないでください。」

「本気なのか?あんなに若くて可愛いのに。姉の方よりも愛嬌があるじゃないか。」


そんなことはどうでもいい。


「ルチアがどんな子を産んでも、僕は知りませんからね。もし、僕に似ていなくても僕のせいではありません。」


父は勝手にしろと言った。言質はとった。



しかし、産まれた子はリオンの色を持って生まれた。これには驚いた。

まさか、本当にルチアを抱いていた?
いや、義父であるクロス伯爵も同じ色なのだから、ルチアの子は祖父に似たのかもしれない。

ルチアにも問い質した。


「あの子は誰の子だ?」

「リオン様の子ですよ?」


ルチアの言葉は変わらなかった。
それはそうだ。リオンと同じ色なのだ。変える必要もない。


「僕の子として受け入れるから、本当に、正直に教えてくれ。誰の子だ?」

「……リオン様です。本当に覚えていないのですか?」


逆に聞かれた。


「キスをしたのは覚えている。だが抱いたことは覚えていない。」

「そうですか。」


それっきり、ルチアと会話をすることはなかった。


ルチアからの最期の言葉は『あなたのせいよっ!』である。

ルチアが階段から落ちる、その瞬間だった。

  
 

あなたにおすすめの小説

最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる

椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。 その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。 ──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。 全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。 だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。 「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」 その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。 裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。

【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~

山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。 この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。 父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。 顔が良いから、女性にモテる。 わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!? 自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。 *沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m

学生のうちは自由恋愛を楽しもうと彼は言った

mios
恋愛
学園を卒業したらすぐに、私は婚約者と結婚することになる。 学生の間にすることはたくさんありますのに、あろうことか、自由恋愛を楽しみたい? 良いですわ。学生のうち、と仰らなくても、今後ずっと自由にして下さって良いのですわよ。 9話で完結

これ以上私の心をかき乱さないで下さい

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。 そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。 そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが “君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない” そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。 そこでユーリを待っていたのは…

【完結】どうか私を思い出さないで

miniko
恋愛
コーデリアとアルバートは相思相愛の婚約者同士だった。 一年後には学園を卒業し、正式に婚姻を結ぶはずだったのだが……。 ある事件が原因で、二人を取り巻く状況が大きく変化してしまう。 コーデリアはアルバートの足手まといになりたくなくて、身を切る思いで別れを決意した。 「貴方に触れるのは、きっとこれが最後になるのね」 それなのに、運命は二人を再び引き寄せる。 「たとえ記憶を失ったとしても、きっと僕は、何度でも君に恋をする」

【完結】ご安心を、2度とその手を求める事はありません

ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・ それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望

【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい

高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。 だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。 クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。 ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。 【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】

【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」 お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。 綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。 今はもう、私に微笑みかける事はありません。 貴方の笑顔は別の方のもの。 私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。 私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。 ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか? ―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。 ※ゆるゆる設定です。 ※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」 ※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド