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ルチアが階段から落ちて亡くなったことはリオンも驚いた。
ルチアに対しては恨みがましく思う気持ちがある。
死んでほしいと思ったこともあったが、それでも実際に死ぬとそう願ったことに罪悪感があった。
ルチアに嵌められてレティシアと婚約解消することになり、リオンは納得がいかなかった。
自分の妻になるのはレティシアだけだ。
ルチアが何故、嵌める相手にリオンを選んだのかはわからなかった。
彼女から恋愛の意味での好意を感じたことがなかったから。
そして両親は、レティシアよりもルチアとの結婚を歓迎していた。
そのこともよくわからなかった。
自分の気持ちだけが置き去りにされていた。
しかし、レティシアを諦める気はなく、彼女に罪悪感を植え付けて三年で離婚するよう仕向けた。
レティシアは薬を飲んだだろう。
僕を裏切るはずがない。
そんな中、婚約したばかりのルチアの妊娠が発覚した。
ルチアの腹の子は僕の子ではないと主張しても、父は苦笑するだけだった。
そんな父と、リオンは約束することにした。
「父上、僕は今ルチアの腹の中にいる子以外、ルチアと子供を作る気はありません。」
「お前、いくら姉と妹を間違って手を出したからって、可哀想じゃないか。責任は取らないと。」
侍女を出して、部屋にルチアと二人きりになったことも迂闊だったと認める。
ルチアがレティシアに見えて、キスがしたかったんだ。
お茶に酒が入っていたことも、呼び出したのがルチアだったことも、気づけなかった。
抱いていなくても、二人きりで部屋にいただけで婚約解消になることだともわかっているが。
「僕が好きなのはレティシアです。」
「……彼女はアーノン侯爵家に嫁ぐ。間違っても手を出すなよ?破滅だぞ。」
それは、わかっている。
だからジョエルが別れたくなるように仕向けるだけだ。
子供ができなければ、レティシアを捨てるだろう。
「いずれ、ルチアとは離婚します。だから、僕はルチアを妻として接しない。なので、強要しないでください。」
「本気なのか?あんなに若くて可愛いのに。姉の方よりも愛嬌があるじゃないか。」
そんなことはどうでもいい。
「ルチアがどんな子を産んでも、僕は知りませんからね。もし、僕に似ていなくても僕のせいではありません。」
父は勝手にしろと言った。言質はとった。
しかし、産まれた子はリオンの色を持って生まれた。これには驚いた。
まさか、本当にルチアを抱いていた?
いや、義父であるクロス伯爵も同じ色なのだから、ルチアの子は祖父に似たのかもしれない。
ルチアにも問い質した。
「あの子は誰の子だ?」
「リオン様の子ですよ?」
ルチアの言葉は変わらなかった。
それはそうだ。リオンと同じ色なのだ。変える必要もない。
「僕の子として受け入れるから、本当に、正直に教えてくれ。誰の子だ?」
「……リオン様です。本当に覚えていないのですか?」
逆に聞かれた。
「キスをしたのは覚えている。だが抱いたことは覚えていない。」
「そうですか。」
それっきり、ルチアと会話をすることはなかった。
ルチアからの最期の言葉は『あなたのせいよっ!』である。
ルチアが階段から落ちる、その瞬間だった。
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