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レティシアが戻ってきたらジョエル様と離婚することになっていたと知っている者はほとんどいない。
レティシアはしばらく実家に行っていた。
使用人のほとんどはそう思っていたので、帰宅したレティシアを違和感なく迎え入れてくれた。
一度離婚して、もう一度再婚する。
そんなケジメも必要ない。
再婚には三か月開けなければならず、離婚を聞きつけられては面倒なことになる。
しかも、妊娠しているレティシアのお腹の子の父親が疑われることにもなりかねない。
ジョエル様は帰宅してすぐに、サインしていた離婚届を細々に破り捨てた。
「これで何事もなかった。」
澄ましてそう言ったジョエル様が可愛くて、笑ってしまった。
悪阻はほとんどなく、安定期に入って領地にいる義両親にも妊娠を伝えた。
とても喜んでくれている手紙が届いた。
男の子でも女の子でも構わないので、体に気をつけて元気な子を産んでほしい、と。
実家の両親にも報告したが、別の相談をする手紙が届いた。
リオンの再婚を聞き、既に男の子もいるのでルネットは引き取るべきかどうか、と。
両親も、ルネットが本当にリオンの子かどうか不安に思うところがあるのだろう。
リオンが何も言ってこない限り、ルネットはトレッド伯爵家の子でいいのではないかと思った。
万が一、引き取りを言われたら受け入れる覚悟を弟サイラスと話し合っていれば問題ないと思う。
もう、レティシアはクロス伯爵家の者ではないので、面倒事はごめんだと思った。
月日が経ち、レティシアは男の子と女の子を出産した。双子だったのだ。
「ジョエル様の髪色だわ。」
どちらの子も、同じ色だった。
「目の色はどうだろうな?」
まだ開いて見せてくれないのでわからなかった。
後日、男の子がレティシアの目の色で、女の子がジョエル様の目の色だとわかった。
双子だったために、ジュリ以外の乳母も必要になり、毎日が賑やかになった。
ちなみにジュリの相手はジョエル様の側近の男性だった。
「え……?彼は独身主義だったはずだが。」
それを聞いたジュリは、怖いくらいの笑顔で言った。
「問題ありません。父親なんていなくても子は育ちます。この子はレティシア様の産むお子様に仕えさせますし。」
ジュリの中では子の将来まで決まっているらしい。
しかし、知らない間にジュリから切り捨てられていた子の父親がジュリに求婚してきた。
「養育費だけいただければ。」
そう突っぱねるジュリを追いかけまわす男の姿がしばらくの間、屋敷内で見世物になっていた。
ジョエル様が責任を感じて仲介し、二人は結婚した。ジュリが三歳年上らしい。
夫婦で私たちに仕えてくれている。
子供たちもそうなるかもしれない。
ずっと心が痛かった三年間は、それでも幸せを感じていた。
もう心が痛むことのない今は、ジョエル様と子供たちの笑顔がもっともっと幸せを与えてくれている。
ルチア、あなたの言った通りね。
これからもジョエル様と幸せになるわ。
<終わり>
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