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フレデリックは昨晩抱いた女が悪友ディックの異母妹ジェーンと知り、驚いた。
「妹がいたのか?」
「妹といっても父と愛人の間に産まれたのがジェーンで、父は認知していないんだ。だから母親と平民として暮らしていた。」
だから知らなかったのか。
ディックの母親の実家は侯爵家だ。
格上の嫁を貰いながら、元男爵令嬢の愛人を囲い子供まで作ったことを隠していたらしい。
「ちょっと待て。ジェーンは何歳だ?」
明るいところで見た彼女は随分と若く見える。
この時、フレデリックは28歳だった。
「16歳だ。可愛いだろう?」
12歳も下なのか。
どうりで妻エレナより遥かに瑞々しい体だったはずだ。
だが、
「まだ若いジェーンをどうして部屋に寄越したんだ!お前の妹だと知っていたら抱かなかった!!」
「お前かレニーのどちらがいいかジェーンに聞いたら、お前を選んだんだ。」
レニーというのはもう一人の悪友だ。
自分を選んだと言われると嬉しいが、そういう問題ではない。
そう思っているとディックが言った。
「お前の愛人にしてやってくれないか?」
「はあ!?」
「ジェーンは可愛いだろう?変な男に目をつけられて困ってるらしいんだ。父上から俺の友人に任せられないかと頼まれて、お前らのどちらかならいいと思ったんだ。」
フレデリックは頭を抱えた。
一夜の遊びはしても、愛人を持つ気はなかった。
だが、ジェーンは純潔だった。
認知はしていなくとも、ディックの妹で、伯爵の娘なのだ。
その時、俯いていたジェーンが顔を上げて懇願してきた。
「フレデリック様、どうかお願いします。このままじゃ、気持ち悪いおじさんの妾にされてしまうと思って父を頼ったのです。先日、母が亡くなってから一人じゃ不安で。
フレデリック様の姿を見て、その、この人の側にいたいって、一目惚れしたんです。」
目をウルウルさせてそう言われると、フレデリックはもう断れなかった。
ジェーンを囲う部屋と使用人を手配し、彼女を愛人にした。
しかし、後で気づいた。
ディックの父親は愛人と娘を囲っていたのだから、使用人もつけていただろう。
母が亡くなってもジェーンは一人ではなかったのではないか、と。
だが、もうその頃には週に一、二度ジェーンの元に通っていた。
彼女は可愛かった。
顔だけでなく、何もかも。
多くを望まず、フレデリックが来るのをいつも待っていてくれた。
フレデリックの癒しだった。
しかし、一年ほど関係を続けたある日、ジェーンが妊娠していることに気づいた。
しかももう、五か月目だという。
避妊薬を飲まなかったようだ。
「子供はダメだと言ったはずだ!!」
「どうしても欲しかったの。あなたの子を。私がここで育てる。奥様に迷惑はかけないから。」
どのみち、もう子を流す時期は過ぎていたから産むしかなかった。
認知はしないが、援助はする。
そういう約束でジェーンは出産に挑んだが、彼女は娘を産み落とした後、亡くなった。
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