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侍女リマが部屋に運んでくれた朝食をとっていると、父が部屋にやってきた。
ミアーナの記憶からするとかなり珍しい。
兄から昨晩の話を聞いたのだと思った。
「ミアーナ、その顔……」
父は美形な顔を歪ませた。
ミアーナに関心のない父でも、娘の顔のひどい有様に悲痛な顔をしている。
「おはようございます。お父様。こんな顔ですのでしばらく部屋で食事をさせていただきます。」
「そんなに腫れて……誰にやられた?」
「顔はネヴィル殿下です。手足と体の痣は殿下の取り巻きの方々ですね。」
ミアーナは袖をずらして腕を見せた。
指跡はぼやけてしまったが、痣はしっかりと残っている。
「……襲われたのは事実なんだな。」
「ええ。お父様、私、修道院などに向かう気はありません。傷物と言われようと構いません。悪いのは彼らで、彼らはしかるべき処罰を受けるべきですから。」
「どんな処罰を望む?」
「法に則った処罰で構いません。ですが、私の心身を傷つけた慰謝料は誠意ある額を望みます。」
四家から金を分捕れと言ってみた。
それによって、今後の暮らしの豊かさが左右されるのだから。
「本気なんだな?逃げず、戦う。それでいいんだな?」
「ええ。あぁ、お父様。私の今の身分、それを間違えないでくださいね。」
ミアーナは公爵令嬢で、現時点ではまだ第二王子ネヴィル殿下の婚約者である。
その地位にある者を穢したという罪の重さを、彼らは後悔するだろう。
「身分……殿下の婚約者、つまり準王族扱いか。となれば、……」
父はハッとした顔になった。気づいたのだろう。
法に則った処罰となると、その罰は貴族であろうと軽くはない。
むしろ、法に則らないで、お互いの落としどころで示談という形にした方が軽く済む。
だが、ミアーナの味わった苦痛を思うと、許す気にはなれなかった。
「お願いがあります。ネヴィル殿下とレイチェル・アトス子爵令嬢が本当はどういった関係なのかを調べてもらえませんか?」
ネヴィルはミアーナとの婚約を解消してレイチェルとの結婚を望んでいた。
しかし、二人が恋人関係にあるということに疑念を抱いている。
「レイチェル・アトス?殿下の愛人か?」
「そう思っていましたが、違うのかもしれません。それと、……」
「まだあるのか?」
「ええ。この数年の間に、令嬢側の浮気や病気などを理由に婚約が破棄・解消された貴族家を調べてほしいのです。」
父は再びハッとした。ミアーナが言いたいことを悟ったらしい。
「お前以外にも、いるのか?」
「そのはずです。貴族令嬢か平民かはわかりません。夫人の可能性もありますが、既婚者なら黙っていることも可能かもしれませんし、離婚しているかもしれませんが。」
平民なら数が多すぎてわからないだろう。
可能性があるとすれば、四人の家で働いているメイドかもしれない。
貴族令嬢なら下位貴族か、あるいは侍女か。
既婚者は再び顔を合わせるリスクがあるため、いないかもしれない。
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